英Extracellular、培養肉研究を支援するライセンスフリーの細胞バンクを立ち上げ

英国のExtracellularが、培養肉業界のスタートアップや研究者向けに、ライセンスフリーで低価格の細胞バンクを立ち上げたと発表しました。

高価で手に入りづらかった初代培養細胞


今回の動きは、培養肉業界での研究開発を加速させるため、共有リソースへのオープンアクセスを求める声が高まっていることを受けてのものです。

Extracellularによると、培養肉研究用の初代培養細胞(組織から直接採取して培養を行う、株化されていない細胞)は高価であるにもかかわらず、品質や性能、出どころを保証するものではありません。さらに、その利用にはライセンス契約などの制限がつきまとい、使える技術やアプローチは限られていました。

同社の新しい細胞バンクは、英国のバイオテクノロジー企業、Multusとの共同プロジェクトにより開発を行なったもの。脂肪、筋肉、骨髄組織から分離された、高品質の牛、豚、羊の初代培養細胞を供給します。従来比で最大90%安価な細胞を提供できることに加え、動物の年齢、品種、性別といった細胞の出どころに関する情報も得られるといいます。

Extracellularは、地元の農家やブリストル大学獣医学部と提携して組織サンプルを入手。一方のMultusは、細胞の同定、凍結保存、増殖特性の評価を行い、同プロジェクトのリスクを軽減するための手順や資料を提供しました。

制限のない細胞バンクで研究を支援


細胞農産品の開発・製造を支援するサービスを提供する、Extracellular。これまでに、The Good Food Instituteや、細胞農業の研究を行うNew Harvestに加え、英国政府の研究資金助成機関であるInnovateUKからも資金を調達。

昨年3月には、総調達額が190万ドル(約2億5,300万円)を超えたことを発表しています。英・ブリストルの研究所では容量200リットルのバイオリアクターを稼働させており、さらなる製造能力の拡張も計画中とのこと。

Extracellularの細胞バンクは、英国内のスタートアップ向けに今年7月から利用が開始される予定。同社は今後、細胞バンクで対応可能な動物種や組織の種類を増やす計画とのことです。

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