FormoとThose Vegan Cowboysが提携、アニマルフリーカゼインの開発・生産機能を統合へ

ドイツのFormoとベルギーのThose Vegan Cowboysという精密発酵企業2社が、アニマルフリーカゼインの市場化を加速させることを目的とした、研究開発における戦略的提携を発表しました。

リソースを統合して開発と認可取得を加速


この提携では、それぞれ独立した事業体としてのアイデンティティを維持したまま、両社の技術開発と生産機能を統合

スケールメリットを発揮し、既存の乳タンパク質と同等の価格を早期に実現することを意図していますが、代替チーズ製品開発の取り組みは両社別々に行う予定です。

Formoの共同創業者でCEOを務めるRaffael Wohlgensingerは、「今後3年以内に同等価格に到達し、10年以内には従来の価格を下回るようになるだろう」と語りました。

さらに、両社は精密発酵分野の業界団体「Food Fermentation Europe」の創設メンバーとして、北米やアジアに後れを取っている欧州市場における法的課題に対処し、精密発酵タンパク質の認可を加速させる計画です。

現在のところ、精密発酵カゼインで規制のハードルをクリアしているのは、先月米国でGRAS自己認証を取得したNew Cultureのみ。EUでは、精密発酵製品について認可を受けた企業はまだありません。

EUの規制を担当する欧州食品安全機関(EFSA)はこれまで、審査プロセスの効率化につながるとして共同申請への強い支持を表明してきました。そのため、両社はEFSAとの確立された対話機会を活用して共同申請書類の作成に取り掛かっており、今年中の提出を予定しているといいます。

両社とも製品化の取り組みを進める


WohlgensingerとBritta Winterbergにより2019年に設立されたFormoは、アニマルフリー乳製品を開発する欧州初の精密発酵企業とされています。2021年には5,000万ドル(約75億7,000万円)を調達し、1,000平方メートルのパイロットプラントを建設して商業規模の生産に向けた準備を進めています。

Frischhain」や「Le Kreuzberg」をはじめとしたクリームチーズの製品ラインアップは、EUの新規食品(Novel Food)規制の対象外となる麹菌を発酵させたタンパク質を用いたもので、今後数カ月のうちにドイツ市場で展開される予定。

昨年には同じく麹タンパク質を用いた代替卵も発表しており、こちらも本国のB2Bチャネルを通じて今年中の発売を目指しています。

一方のThose Vegan Cowboysは、大成功を収めた植物性代替肉ブランド「The Vegetarian Butcher」の創業者でもあるJaap KortewegNiko Koffemanが、同ブランドをユニリーバに売却した後の2020年に創業。

優秀な科学者チームを結成してベルギーのへントに「ミルクラボ」を設立し、精密発酵カゼインの開発に注力してきました。

2022年末には「Margaret」と名付けられた独自の発酵プラットフォームを用いてカゼインを生産し、代替チーズの試作品を発表。現在、1,500万ユーロ(約24億5,000万円)の調達により事業規模の拡大を進めている最中です。

参考記事:
Formo and Those Vegan Cowboys Reveal “First-of-its-Kind” Collab to Expedite Production of Cow-Free Cheese
Formo & Those Vegan Cowboys Join Forces to Bring Animal-Free Cheese to EU Shelves

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