米FermentumとLiDestri Foods、共同で精密発酵受託施設の立ち上げを発表

精密発酵を手掛ける米Fermentumが、食品受託製造大手のLiDestri Foodsとの合弁事業として、容量50万リットルの精密発酵受託施設の立ち上げを発表しました。

ラボスケールから大規模生産までに対応


ニューヨーク州ロチェスターに位置する1万平方フィート(約930平方メートル)の同施設は、すでに稼働を開始。今後、最大4万平方フィート(約3,720平方メートル)まで拡張可能だといいます。

400リットルのシードタンク1基、2万リットルタンク3基、7万リットルタンク6基に加えて小規模のラボを備えており、ラボスケールからパイロット生産、大規模生産の発酵ニーズに対応可能です。

LiDestri Foodsは、米国屈指のプライベートブランド・食品受託製造業者として知られており、Fermentumとの提携の一環として同社に850万ドル(約12億4,200万円)のリースと建設資金を提供。

Fermentumの共同創業者Joel Stoneは、「革新性、製造ノウハウ、資金力を兼ね備えたLiDestri Foodsの参画は、未来の食品開発における発酵の大きな可能性を示すものだ」と述べました。

容量不足を緩和するFaaSモデル


米国内ではほかにも、コロラド州に拠点を置くMycoTechnologyが300〜9万リットルのタンクを保有しており、Fermentation as a Service(FaaS)事業を展開。Liberation Labsは今年6月、インディアナ州に60万リットルの精密発酵施設を着工し、2024年末までに稼働を開始する予定です。

カリフォルニア州のPow.Bioは、バッチ式に比べて生産効率の高い、連続式の精密発酵システムを構築。バイオリアクター内で成長段階(微生物が増殖する段階)と生産段階(微生物が目的物質を生産し始める段階)を分離するデュアルチャンバー構造を採用し、コンタミネーションや菌株の突然変異により生産が完全に中断されてしまうのを防ぎます。

精密発酵スタートアップが急増し発酵タンクの容量不足が懸念される中、こうしたFaaSモデルが業界のボトルネックを緩和する一助となることが期待されています。

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