フィンランドのEnifer、大規模なマイコプロテイン工場の建設に向け約20億円の助成金を獲得

フィンランド経済・雇用省の組織で貿易や投資の促進を行うBusiness Finlandが、Eniferが開発するマイコプロテイン原料「PEKILO」の大規模工場建設に対し、1,200万ユーロ(約19億1,000万円)を超えるリサイクル・リユース投資助成金の支給を条件付きで承認しました。

2026年に工場の稼働開始を予定


この資金は、欧州連合(EU)が新型コロナ禍から復興するための資金拠出を目的とした、「NextGenerationEU」プログラムによるもの。

EUの「Circular Economy Action Plan(循環型経済行動計画)」、およびフィンランドの持続可能な成長計画に沿った形で、産業副産物や廃棄物の再利用とリサイクルを促進する世界初の大規模施設建設を支援します。

新工場の生産能力は、年間3,000トンを予定。これは牛3万頭分の肉に含まれるタンパク質量に匹敵しますが、CO₂排出量を20倍以上削減し、水と土地の利用量もかなり少なく抑えられるといいます。

建設費は3,000万ユーロ(約47億8,000万円)の見込み。2025年末までに完成し、既存のパイロットプラントから移行して2026年に生産が開始される予定です。

食品産業の副産物をバイオマス発酵に活用


同工場では、菌糸体に林業から出る副産物を栄養分として与えて発酵させ、マイコプロテイン原料「PEKILO」を生産します。

この発酵技術には長い歴史があり、元は1970年代にフィンランドの林業技術者によって開発されたもの。1975〜91年まで、マイコプロテインの商業生産を行う世界初のプロセスとして、林業副産物を持続可能な飼料用タンパク質に変換し、国内市場で供給してきました。

Eniferは、オリジナルの製法をさらに進化させ、食品廃棄物を用いた食品グレードの原料としてPEKILOを開発。タンパク質と食物繊維を豊富に含み、ニュートラルな色と風味を持った粉末原料で、植物性タンパク質と同様の方法で使用することができます。

同社の共同創業者でCEOを務めるSimo Elliläは、「PEKILOの最初の開発者は、この素晴らしいタンパク源を食品に応用することを目的としていた。50年以上の歳月を経て、ついにその使命を果たすことができた」と語っています。

2024年上半期中には、食品グレードの原料として、規制当局への認可申請を行う予定です。

同社は昨年春のシリーズAラウンドで1,100万ユーロ(約17億5,000万円)を調達。すでにNutrecoの水産飼料部門Skretting、ペットフードのPurina、乳製品のValioなど、世界的な大企業との継続的なパートナーシップを結んでいます。

参考記事:Enifer secures €12 million grant to build a first-of-its-kind mycoprotein ingredient factory

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