代替シーフード開発の独Pacifico Biolabsが、約5億円の資金調達とステルスからの脱却を発表

バイオマス発酵により代替プロテインを生産するドイツのPacifico Biolabsが、プレシードラウンドで330万ドル(約4億9,700万円)を調達し、ステルスモードからの脱却を発表しました。

菌糸体を含む複数の微生物を組み合わせ


Washington LogronoZac Austinにより2022年11月に設立されたPacifico Biolabsの資金調達ラウンドは、Simon CapitalFoodLabsが主導。Exceptional VenturesとSprout & About Venturesも参加しました。

この資本により、代替プロテイン生産のための発酵技術をスケールアップさせ、規制当局の認可を得て最初の製品(白身魚のフィレなど)を欧州市場で発売する計画です。

ドイツ・ベルリンに拠点を置く同社は、菌糸体を含む複数の微生物を用いるバイオマス発酵により、最適な風味と食感を実現し、栄養価を高めた製品を開発。食品廃棄物を削減するため、食品業界の副産物を有効活用しています。

同じ技術は各種代替肉の製造にも活用できるものですが、同社では社会に与える潜在的インパクトが大きく、商業的実現性の高いシーフードからスタートしています。

研究機関とのパートナーシップで開発を強化


発酵生産では設備投資が重要となる中、Pacifico Biolabsでは現在、新しい生産プロセスを構築中。CEOのAustinによると、「代替プロテイン分野で植物性食品を手掛ける企業と微生物発酵を手掛ける企業の両方が直面している課題を解決することに焦点を当てて」技術開発を行ったとのことです。

また、大規模生産に特化した技術の最適化を進めており、効果的な手法が確立できれば、最も安価な養殖魚以下のコストで代替シーフードを製造できる可能性もあるとしています。

同社は昨年11月、ポルトガルの首都リスボンで開催された、EUが出資する「EIT FOOD Summit」のネットゼロ・フードシステム・ミッション部門で優勝を飾りました。

まだ創業間もないスタートアップ企業ですが、研究機関とのパートナーシップを築き、専門人材を惹きつけることで確固たる存在感を示しつつあります。

発酵 × シーフードの可能性


フードテック関連のベンチャーキャピタルからの資金調達が減速しているにもかかわらず、昨年はヴィーガンシーフードを手掛ける企業が目立った成功を収めています。

カナダのKonscious Foodsは2,600万ドル(約39億1,000万円)、New School Foodsは1,200万ドル(約18億1,000万円)、米国のAQUA Cultured Foodsは550万ドル(約8億2,800万円)の調達を行いました。

その一方で、今年に入って、植物性の代替シーフードを開発していたNew Wave FoodsOrdinary Seafoodの2社が閉鎖に追い込まれており、同カテゴリーの企業が直面する困難も浮き彫りになっています。

代替シーフードに取り組んでいる企業は2021年時点で120社が報告されていましたが、その中で発酵ベースの製品に取り組んでいるのは、Revo FoodsEsencia Foods、AQUA Cultured Foodsなど数社のみ。

複数の消費者調査によって、「食感」が植物性シーフードの購入を避ける要因であることが明らかになっており、食感の改良が見込めるPacifico Biolabsのアプローチは今後市場への浸透が期待されます。

参考記事:
Pacifico Biolabs emerges from stealth with fermentation process for alternative seafood | TechCrunch
With a $3.3M Pre-Seed Round, Pacifico Biolabs Bets on Fermentation to Perk Up Alternative Seafood Sector
Key consumer insights on plant-based seafood | LinkedIn

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