Solar FoodsがNasdaq First Northへの上場を発表、9月に株式公開へ

空気由来のタンパク質を開発するフィンランド企業Solar Foodsが、Nasdaq First North Growth Market* への上場計画を発表しました。上場は、株式発行や売却を伴わないテクニカル上場の形で、9月の実施が予定されています。

* Nasdaq Nordicの一部門であり、欧州の中小企業約550社の株式が売買される多角的取引システム(MTF)。

グローバルな成長戦略を実行


Solar Foodsはこれまで、Fazer、Lifeline Ventures、Agronomics、CPT Capital、Voima Ventures、さまざまなファミリーオフィスなどから総額4,300万ユーロ(約70億円)以上調達してきました。

民間投資に加えて公的資金の援助も得ており、Business Finlandから3,400万ユーロ(約55億円)の助成金を獲得。さらに、「新工場を欧州に建設すること」を条件に7,600万ユーロ(約123億円)を確保しています。

同社によると株式公開を行う理由の一つは、グローバルな成長戦略を実行するため。これには生産規模の拡大、新製品の市場投入、パートナーシップの構築、技術開発を加速させるための戦略的買収が含まれます。

また、顧客や投資家など、ステークホルダー間の知名度と信頼性を高めることも目的としています。

製品発売で売り上げを確保、工場開設も


野心的な目標を掲げるSolar Foodsは、160件を超える特許出願(うち28件取得)に加えて、Fazerなどと提携したシンガポールでの製品発売、年産160トンの工場「Factory 01」の開設など、昨年から大きなマイルストーンを次々と達成。

今年4月には、フィンランドの民間企業としては初めて、Nasdaq Green Equityの認定を受けました。これは、環境に良い活動からの売上高が50%以上かつ、化石燃料を使用する活動からの売上高が5%未満の企業を認定するもの。

CO₂と電気を使用するガス発酵で微生物タンパク質「Solein」を生産し、環境への影響を大幅に軽減できる独自技術が評価された形です。

つい先日には、以前から同社との提携を進めていた味の素が、乳製品の代わりにSoleinを使用した月餅とアイスクリームサンドを期間限定で発売しました。

技術のライセンス供与も検討


新しく建設を予定している「Factory 02」では、年産8,000〜16,000トンの生産能力で、8,000万〜2億ユーロ(約130〜324億円)の売上高を生み出せる予定。

Soleinの生産コストは1kgあたり4.3~5.2ユーロ(約700〜840円)となり、技術の進歩によりさらなるコスト低下が予測されています。

2023年末時点で、Solar Foodsの純負債は前年比25%減の1,200万ユーロ(約19億円)で、自己資本比率は48%(前年23%)。

通期の売上高は5,000ユーロ(約80万円)で、680万ユーロ(約11億円)の営業損失となりましたが、今年はFazerや味の素の製品販売により、大幅な売り上げ増加が見込まれます。

また、さらなる収益源として技術のライセンス供与も検討。すでに実証スケールへの拡大ができているため、菌株と発酵技術の両方を食品産業向けにライセンス供与できる可能性があるとみています。

参考記事:
Solar Foods to List on Nasdaq, Bolstering Growth Plans for ‘Solein’ Air-Based Protein
Factory 01: Solar Foods Opens World’s First Commercial-Scale Facility to Make Protein from Air
Solar Foods is planning a listing on the Nasdaq First North Growth Market Finland marketplace – Inderes

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