AIでタンパク質を探索するプラットフォームを開発する米Shiruが、シリーズBラウンドで約25億円を調達

米国のバイオテクノロジー企業Shiruが、シリーズBラウンドで1,600万ドル(約25億円)の調達を実施したと発表しました。これまでの累計調達額は3,600万ドル(約56億3,000万円)に達しています。

食品以外の分野にも進出を狙う


このラウンドは、S2G Venturesがリードインベスターを務め、CPT Capital、Lux Capital、Nourish Ventures、Meach Cove Capitalが参加。

今回の資金調達によりShiruは、米『TIME』誌の「The Best Inventions of 2024」に選ばれたタンパク質探索プラットフォーム「ProteinDiscovery.ai」の開発をさらに推し進め、香料やスキンケア成分、先端材料、農業といった他分野に進出する計画です。

このプラットフォームは、3,300万を超える分子のデータベースからタンパク質の配列と機能で検索し、機能性の高い天然成分を探索することができるもの。植物や微生物由来の天然タンパク質を収載したデータベースとしては世界最大であり、従来の原料に代わる新たな化合物の発見を可能にすると謳われています。

重要な機能の一つとなっているツール「Expressor」では、微生物系でのタンパク質発現を予測することができ、コスト効率の良い生産が行えるタンパク質の特定に寄与。システムを用いて生み出された知的財産権はその企業に帰属し、無期限に保護されます。

創業者でCEOのJasmin Humeは、「当社の技術は、劇的な開発期間の短縮とコスト削減をもたらし、価値あるイノベーションと競争優位性の実現を助ける」と述べています。

甘味タンパク質の開発では味の素とも提携


Shiruは昨年、タンパク質探索技術を活用した最初の製品として、代替脂肪「OleoPro」を発表。持続可能性の問題を抱える動物性脂肪やパーム油に代わって植物性食品や化粧品に使用できるこの原料は、飽和脂肪酸を80%以上削減。この製品は先日、米国特許を取得しました。

この発売にあたって持続可能な食品原料をグローバルに手掛けるGriffith Foodsと提携しているほか、Puratosと共同で次世代の代替卵原料の開発に着手。

今年7月には、飲料などの砂糖や甘味料を置き換える甘味タンパク質の開発・商品化に向け、味の素の米国子会社とも提携に至りました。砂糖の5,000倍もの甘味を持つ甘味タンパク質は食後の血糖値上昇を抑え、糖尿病などの疾病のコントロールに役立つとされています。

参考記事:
AI-driven ingredient discovery startup Shiru raises $16M
Shiru Expands AI-Powered Ingredient Discovery with $16M Boost to Revolutionize Products, Categories, and Industries

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。