U2も支援するヴィーガンペプチド開発のNuritas、シリーズCラウンドで約66億円の調達に成功

植物由来のペプチドを開発するアイルランドのスタートアップ企業Nuritasが、シリーズCラウンドで4,200万ドル(約66億3,000万円)を調達したと発表しました。

植物由来のペプチドを探索するAIプラットフォーム


このラウンドはM&G Investmentsが主導し、McWin Capital Partnersと既存投資家のGrosvenor、ECBFが参加しました。Nuritasには、アイルランドを代表するロックバンドU2のメンバー、ボノやジ・エッジも初期投資家として名を連ねており、累計調達額は1億5,000万ドル(約237億円)近くに上っています。

同社は調達資金を使って、人工知能(AI)主導型の「Magnifier」プラットフォームとB2Bの顧客基盤を拡大させ、世界中の多様な消費者にリーチする計画。

複数のアミノ酸が結合した化合物を指す「ペプチド」は、コラーゲン、ケラチン、エラスチンなどのタンパク質を構成するブロックとして働き、抗老化、抗炎症、皮膚修復、筋力増強などの作用をもたらすことが知られています。

Nuritasによると、ペプチドは動物からも植物からも摂取でき、健康上の利点があるにもかかわらず、現在手に入る大半のペプチド成分は消費者の健康ニーズを満たせていないとのこと。さらに、健康上の利点を謳う新製品を開発するには、数十年という期間と莫大なコストが必要です。

米国のGRASステータス取得で販売が可能に


Nuritasは、さまざまな植物から新しい生理活性ペプチドを発見し、それを食品、サプリメント、化粧品、その他の機能性製品に組み込むことで、この状況を変えようと企図しています。

ペプチドに関する世界最大のナレッジベースと謳う同社の「Magnifier」プラットフォームは、独自のデータとゲノミクスを活用し、従来の手法に比べて10〜50倍速く植物由来のペプチドを同定可能。臨床成功率は、標準的な1桁台前半をはるかに上回り、業界トップクラスの80%以上を誇ります。

今年創業10年を迎えた同社は、ネスレ、マース、ジボダン、住友商事といった大企業を顧客に抱え、原料供給を行ってきました。

ソラマメ由来の主力製品「PeptiStrong」は、今月初めに米国食品医薬品局(FDA)GRASステータスを取得。自社ブランドの「Elio Restore」を含め、すでに複数の大陸で消費者向け製品の原料に使われています。

昨年には、コラーゲン生成を促進することでシワの深さを減らし、肌をなめらかにする「PeptiYouth」をラインアップに加えました。来年はさらに、臨床試験で効果を示した3種類の新しいヴィーガンペプチド製品を発売する予定です。

ヴィーガンペプチドの開発に取り組むその他のスタートアップ企業には、植物由来成分を用いるVeCollalActive Concepts、精密発酵を利用するGeltor、ガス発酵を利用するArkeonなどがあります。

参考記事:
Nuritas secures $42m funding for AI-powered ingredient discovery
Irish biotech Nuritas bags $42m to advance ingredient discovery
U2-Backed Startup Nets $42M in Series C Funding for AI-Led Vegan Peptide Platform

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