Biokraft Foodsが政府機関と共同でインド初の培養魚プロトタイプ開発に成功、夏にも認可申請へ

インドのスタートアップ企業Biokraft Foodsが、政府系の研究機関ICAR-Central Institute of Coldwater Fisheries Research(ICAR-CICFR)との共同で、国内初となる培養魚フィレの試作品を発表しました。

入手が限られ高価な魚種を培養生産


このパートナーシップを通じて、両者はインド在来種のマス科の魚から細胞株を樹立。培養した細胞をバイオインクとして使用し、独自の3Dバイオプリンティング技術でホールカットフィレの形に仕上げました。

今回開発したプロトタイプについては、細胞の倍加速度がまだ遅く、細胞バイオマスは3%。採算が取れるようであれば、今後10%まで高めたいとしています。

Biokraft Foodsはスノートラウトやニジマスなど、ヒマラヤの珍味とされる魚種について、年間を通じて信頼できるサプライチェーンを構築する狙い。地理的・気候的な制約から国内での入手が限られていた魚種のため、価格面で大きな価値を提案できるとの考えです。

同社は現在、培地成分として高価なウシ胎児血清(FBS)をまだ使用しているとのこと。原料・プロセスの最適化と規模拡大により、徐々に生産コストを引き下げられる余地はあるといいます。

培養マスはまた、抗生物質への依存をなくし、マイクロプラスチックなどの汚染物質を防ぐという点でもメリットがあると期待されています。

2026年中に本格的な製品展開を目指す


Biokraft Foodsの技術は本来、培養鶏肉の生産を意図して築かれたもので、昨年12月にはムンバイで国内初の試食イベントを開催し、部分的に培養成分を使用したハイブリッドチキンを披露。一般への提供にあたり必要な検証試験を受けており、来月以降、複数の試食イベントを予定しています。

これと並行して、1年前から培養シーフードの開発にも着手し、ICAR-CICFR(旧称:ICAR-DCFR)と提携しました。ICAR-CICFRがマス科魚類を主な研究対象としていることから、共同研究に至っています。

同社は、2025年末までに研究開発と生産を手掛ける専用のパイロットプラントを開設し、2026年末までに培養肉・シーフード製品の本格的な商業展開を目指す計画。

インドが細胞性食品に関する規制の明確化に向けて動き出している中、規制を管轄するインド食品安全基準局(FSSAI)とも緊密に協力しており、創業者でCEOのKamalnayan Tibrewalによると、2カ月以内にまず培養鶏肉の認可申請を行う予定です。

参考記事:
Biokraft Foods Develops “India’s First” Cultivated Trout Fillet in Collaboration with ICAR-CICFR
India Inches Closer to Cultivated Meat as Biokraft Foods Prepares Regulatory Filing
Biokraft Foods launches India’s first Cultivated Trout Fillets in collaboration with ICAR-CICFR – Agro Spectrum India

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