チェコの培養肉スタートアップMewery、EUから約5億円の助成金を獲得

動物細胞と微細藻類の共培養プロセスによる培養肉開発に注力するチェコのスタートアップ企業Meweryが、290万ユーロ(約4億9,500万円)の資金を確保したと発表しました。

培養肉セクターへの民間投資が急減し、アーリーステージにいる多くの企業が調達に苦慮している中、重要度が増している公的機関からの支援を獲得しています。

パートナー企業とのパイロットプロジェクトを計画


獲得資金の大半を占める250万ユーロ(約4億2,700万円)は、チェコ技術庁(TA CR)が運営する欧州イノベーション会議(EIC)アクセラレーターからの助成金。

残りの40万ユーロ(約6,800万円)は、特にオランダのワーゲニンゲン大学が主導し、チェコの政府機関CzechInvestが支援する国際コンソーシアムを通じて「Horizon Europe」プログラムに参加したことによるものです。

この研究開発助成プログラムへの参加により、Meweryは微細藻類ベースの製品の利用拡大に取り組む、欧州8カ国19のパートナー企業のうちの1社となりました。

同社は、今回の資金調達により生産規模を拡大して、年末までにキロ単位のバイオマスを生産する計画。

創業者のRoman Laušは、「すでに食肉生産者とも関わりを深め、今後数カ月の間にパイロットプロジェクトを始める可能性を探っている。これらの企業と共同で技術をテストし、製品の市場投入に近づけたい」とコメントしています。

微細藻類で高価な培地成分を代替


Meweryは創業以来、豚の細胞と微細藻類を組み合わせた独自の「共培養」技術を開発してきました。

この手法は、細胞の増殖効率を高め、生産コストを削減するだけでなく、最終製品の栄養価を高めることにも寄与。同社はこれまで4種類の試作品で技術を実証しており、現在は中規模のバイオリアクターで少量の培養肉を生産しています。

昨年には安定した細胞株を樹立し、遺伝子組み換えでない複数の種類のブタ細胞を含む細胞バンクを拡張しました。

その後、メンデル大学の施設内に設置したパイロットプラントで試験生産を開始。長期的にはライセンス供与により収益を得るビジネスモデルを目指し、バイオプロセスの内部検証と、バイオリアクターのサイズに対する最適化に集中しています。

同社はまた、欧州委員会(EC)が定める最高基準を満たしたプロジェクトに与えられる「Seal of Excellence」を獲得しました。世界でもトップクラスの培養肉スタートアップとしての評価を受け、投資家と研究機関の関心を引いています。

参考記事:
Mewery Strengthens Global Ambitions, Secures €3 Million for Development Toward Industrial Testing | Protein Report
Czech Startup Mewery Gains €3 Million in Funding for Cultivated Meat Development
Mewery Secures $3.3M in Government Grants to Scale Up Cultivated Pork
EICA awarded its Seal of Excellence to Czech Mewery, based on which the TACR provided funding to Scale Up Cultivated Pork – Startup Kitchen

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