オランダの小売り大手Albert Heijnがメタン排出量の報告を実施、主要スーパーマーケットでは世界初

オランダの主要な小売業者Albert Heijn(アルバート・ハイン)が、2024年版のサステナビリティ・レポートに改訂を実施し、Scope 3排出量(自社以外のサプライチェーン内で発生する排出)にメタンガスの記載を追加。

温室効果ガス排出量全体の約14%メタンガスが占めていると推定されることを、初めて明らかにしました。

グループ全体での透明性確保を要請


環境保護活動を展開するNPOのMighty Earthによると、世界の主要な小売企業でメタン排出量を公表したのは、Albert Heijnが初。

同団体が今年4月に発表したレポートでは、Albert Heijnの親会社であるAhold Delhaize(アホールド・デレーズ)の総メタン排出量は、スウェーデンやデンマークといった国全体の排出量にも匹敵すると推定されていました。

Mighty Earthは現在、テスコ、カルフール、リドルなどほかの小売業者に対しても、Albert Heijnの動きに追随するよう呼びかけており、親会社Ahold Delhaizeが米国で展開するブランド(Stop & Shopなど)にも同じ提言を実施。

上述のレポートによると、Ahold Delhaizeのオランダ事業が、グループ全体の肉・乳製品に由来するメタン排出量の24%を占めているのに対し、米国子会社では倍近い45%を排出しています。

Mighty Earthのオランダ支部代表を務めるJurjen de Waalは、「小売業界からは長きにわたって、メタン排出量の開示は厳しすぎるとの主張を受けてきたが、今回Albert Heijnが開示に踏み切ったのは、これが成し得ることの証明だ」とコメント。

「メタン排出量の削減は、地球温暖化を抑制する最も迅速で費用対効果の高い方法の一つであり、透明性の高いメタン排出量の報告は、この問題に正面から取り組むための第一歩だ」と語っています。

ネットゼロ目標に向け、植物性タンパク質の売り上げ増へ


Greenpeace Nordicが昨年発表したレポートによると、主要な食肉・乳製品企業29社のメタン排出量は、化石燃料を扱う世界最大手企業100社の排出量に匹敵するとのこと。

仮に食肉・乳製品業界が規制されないままであれば、2050年までの世界の気温上昇をさらに0.32℃高めてしまう可能性があると結論付けています。

Mighty Earthは、Ahold Delhaizeが掲げる2050年ネットゼロの目標を達成するためには、同社は同レベルのコミットメントを米国事業にも持ち込み、効果的なメタン削減戦略を早急に策定する必要があると指摘しました。

唯一の解決策ではないものの、植物性食品への転換は、温室効果ガス、特にメタンの排出を削減する最も効果的な対策の一つ。

Ahold Delhaizeは、2030年までに欧州の各保有ブランドから販売するタンパク質の50%を植物性食品にする目標を発表しており、2024年時点では44.2%となっていることを明らかにしています。

参考記事:
Dutch retail giant becomes first global supermarket to disclose methane emissions – Mighty Earth
Albert Heijn Becomes “First” Global Supermarket to Disclose Methane Emissions
Netherlands’ Albert Heijn Becomes First Supermarket Globally to Report Methane Emissions
Albert Heijn first supermarket to report methane emissions « Euro Weekly News

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