精密発酵コラーゲンのメーカーGeltorがグローバル展開に向け新たな資金を確保、累計調達額は200億円に

美容・ウェルネス業界向けに持続可能なアニマルフリーのタンパク質を開発する米国のバイオテクノロジー企業Geltorが、新たな資金調達ラウンドを完了。今回の金額は非公開ですが、これまでの調達総額は1億3,700万ドル(約200億円)に達したとのことです。
精密発酵によるデザイナータンパク質
最新のラウンドはStarlight VenturesとiSelect Fundが共同でリードインベスターを務め、既存の投資家からも多くの参加がありました。Geltorは製品ポートフォリオの新たな地域への拡大、パートナー企業とのAIを活用したタンパク質設計の探求など、いくつかの分野で的を絞った投資を行う予定です。
Alexander LorestaniとNick Ouzounovが2015年に共同で創業した同社は、計算生物学を駆使した「Biodesigner AI」プラットフォームを構築。食品や化粧品に含まれる動物性のペプチドに代わる、持続可能な「デザイナータンパク質」を生産するために発酵を採用しました。
ペプチドは短鎖アミノ酸の一種で、コラーゲン*、ケラチン、エラスチンといったタンパク質を構成するブロックとして働き、抗老化、抗炎症、皮膚修復、筋肉増強など、身体にさまざまな効果をもたらします。
Geltorの精密発酵プラットフォームは、自然界に存在する既知のタンパク質配列のデータベースから、優れたパフォーマンスが見込めるアミノ酸配列を選択・最適化。このデザインした配列を微生物(大腸菌など)のDNAに再現し、発酵させた後、生成されたタンパク質のみを分離します。
すでに商業生産の規模を実現しており、あらゆる規模の顧客の量的要件を満たすことが可能な状態です。
* コラーゲンの効能については議論があり、髪や肌、爪、関節の健康に寄与するとされる一方で、ハーバード公衆衛生大学院は、(すべてではないにせよ)大半の研究が業界企業や利害関係者からの資金提供を受けているとして、その結果について消費者に注意喚起を行っている。ただし、コラーゲンそのものではなく、コラーゲン生成に役立つ食品を摂取することの有益性を指摘する研究もある。
米FDAのGRASステータスを取得
Geltorは、ラテンアメリカでコラーゲンポリペプチドを発売し、大手美容・パーソナルケアブランドとの提携に向けた契約を締結するなど、重要なマイルストーンを達成してきました。
現在は、5種類の成分をメーカーに供給中。そのうちの1つで、サプリメントや美容業界に向けた世界初のヴィーガンコラーゲンという21型コラーゲン「PrimaColl」については、米国食品医薬品局(FDA)のGRAS(Generally Recognized As Safe:一般に安全と認められる)ステータスを先日取得しました。
CEOのLorestaniは、「革新的で明らかな利益を消費者にもたらす技術への強い需要を背景に、美容、ウェルネス、長寿の領域は融合して、5,000億ドル超の米国市場と20億ドル超の世界市場を形成しつつある」とSNS上でコメント。
「デザイナー・ポリペプチドとその派生品は、オゼンピック(2型糖尿病治療薬)やボトックスのようなパラダイムシフトをもたらすだろう」と述べています。
参考記事:
Alexander Lorestani | LinkedIn
Geltor Closes Equity Financing Round for Animal-Free Beauty Ingredients, Bringing Total Amount Raised to $137M
Animal-Free Collagen Maker Geltor Gets Fresh Funding to Take AI-Led ‘Designer Proteins’ Global
Geltor secures funding to expand its biodesigned polypeptide portfolio
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