ニューヨーク市が学校や病院での加工肉提供を禁止へ、植物性タンパク質の増加を促す施策

米国・ニューヨーク市保健局食料政策局(MOFP)が発表した食品基準の改定により、公立の学校や病院における加工肉の使用が禁止されることとなりました。この基準はまた、高齢者や路上生活者などにサービスを提供する公的機関にも適用されます。

加工の少ない植物性タンパク質の増加を要求


消費者が超加工食品(UPF)への懸念を強め、連邦政府機関もその定義付けに取り組む中、ニューヨーク市も違った視点からこの問題に関与しています。

これまでの超加工食品を巡る騒動の多くは植物性代替肉に関連したものでしたが、ニューヨーク市政府は「加工肉」をターゲットに設定。

公共給食における食事とスナックの栄養要件を厳格化し、市の11の機関に対して、加工肉をすべて排除し、加工を最小限に抑えた植物性タンパク質の量を増やすよう要求しました。

その目的は、市内で年間2億食以上提供される食事を変革し、学校生徒、高齢者、入院患者を含む100万人の市民の健康をサポートすることです。

改定された食品基準では、ナトリウム、飽和脂肪酸、添加糖を多く含む高度に加工された食品を制限する一方で、果物、野菜、全粒穀物など、加工を最小限に抑えたホールフードとしての植物性タンパク質の提供を推奨。

そのほか、すべての人工着色料と、特定の小麦粉添加物および保存料に対する新たな制限の追加、低カロリー・ノンカロリー甘味料に対する制限の拡大(従来は18歳未満にのみ適用→全年齢層へと拡大)、スナック菓子の種類と栄養の質を向上させるための要件の強化などが主な変更点となっています。

指摘されるがんや心臓病との関連性


先日『Nature Medicine』誌に掲載された大規模なレビューでは、加工肉の摂取がわずかな量であっても人間の健康に及ぼす悪影響が示されました。

加工肉に含まれるナトリウム、硝酸塩、保存料の過剰摂取は、細胞のDNAを傷つけ、がん腫瘍を作り、膵臓細胞を傷つける(インスリンの分泌を阻害し、高血糖や2型糖尿病を引き起こす)と研究チームは指摘。

1日あたりホットドッグ1個分を摂取すると2型糖尿病が11%、大腸がんが7%、虚血性心疾患が2%増加し、ハム2枚分では糖尿病リスクを30%、大腸がんリスクを26%上昇させるといいます。

また、心臓の炎症の増加と関係し、米国における死因の第一位となっている心臓病を引き起こす飽和脂肪酸の多さも見逃せません。

一方、植物性タンパク質は心臓の健康、がんや2型糖尿病の予防に良いことが多数の研究で示されていますが、米国疾病予防管理センター(CDC)によると、7,500万人以上の成人が加工の多いファストフードを毎日食べており、そのうち63~74%が赤肉や加工肉を常食しているとの調査結果も。

こうした事実から、年末までの改定が予定されている食生活ガイドライン(2025〜30年版)の諮問委員会においては、植物性タンパク質を推進しつつ、赤肉や加工肉の消費を減らすよう推奨する旨の勧告が行われています。

植物性食品政策の先駆者に


改定版の食品基準が施行される2026年7月に向けて、ニューヨーク市保健局はガイドラインの策定を予定。新基準の導入により慢性疾患の蔓延を減らし、一部の人々にとって健康的な食事を取るのを困難にしている構造的な不平等をなくすのに役立つと期待されています。

食料政策局のSierra Hollowellは、「ニューヨーク市は、米軍に次いで全国で2番目に食品の購入量が多い公的機関であり、これは大きな取引になる」と指摘。

ニューヨーク市は以前から、公立病院でのデフォルトの選択肢を植物由来のメニューとするなど、健康に焦点を当てた改革を実施してきました。この取り組みは大きな成功を収めており、患者の満足度は90%を超えています。

保健局の局長代理を務めるMichelle Morseは、「すべてのニューヨーカーが、美味しく健康的な食品にアクセスする権利を持っている。新基準を通じて、ニューヨーク市保健局は、糖尿病や心血管疾患といった慢性疾患をターゲットとすることで、平均寿命の延伸に向けた取り組みをさらに進め、『HealthyNYC』の目標を推進したい」とコメントしています。

参考記事:
New York City to Ban Processed Meat in Public Schools and Hospitals
NYC to Remove Processed Meats, Increase Plant-Based Proteins in Meal Programmes
New N.Y.C. Food Standards Could Spell Doom for Chicken Nuggets – The New York Times

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