ドイツ企業Koaがカカオフルーツを用いたドリンクを発売、副産物の活用でガーナの小規模農家の収入源を創出

ドイツ・ケルンに本拠を置くスタートアップ企業のKoaが、カカオの実の果汁から作られた3種類のビタミンドリンクを発売しました。チョコレート産業の主要な副産物をアップサイクルし、農家にとって追加の収入源を提供します。
気候変動の脅威にさらされるカカオ栽培
Koaの新製品は、チョコレートの製造過程で廃棄されていた果肉の部分(カカオパルプ)をアップサイクルしたもの。3種類のフレーバーが用意され、今月4日から8日までケルンで開催されている見本市「Anuga」で披露されています。
砂糖無添加のヴィーガン製品で、1本でビタミンCの一日推奨摂取量を含有。ドイツの小売店および公式ウェブサイトで販売され、価格は60mLボトルで2.65ユーロ(約460円)となっています。
2017年に設立された同社の目的は、気候変動がもたらす課題と、食品廃棄物の削減、そして提携するガーナの小規模農家の副収入創出に取り組むこと。
気候変動により、世界のカカオ在庫は過去10年で最低水準まで急落。昨年はアフリカ諸国のカカオ生産地域の70%以上で、気温が32℃を超える日が6週間増加し、特に最大生産国であるコートジボワールとガーナでは、異常気象と作物への病害がプランテーションに深刻な打撃を与えました。
科学者らはさらに、脅威にさらされているカカオの木の3分の1が2050年までに枯死する可能性があると見積もり、これが世界的なチョコレートの供給不足を招く恐れがあると警告しています。
カカオ農家の96%で生活が改善
チョコレートの製造過程では、カカオの実のうち、果肉と外皮を含む約70%が廃棄されていると推定され、実の4分の1を占める果肉だけで年間約500万トンが失われているとのこと。
Koaによると、この果肉はチョコレートとは異なる新鮮でトロピカルな風味を持ち、天然のビタミン・ミネラル・抗酸化物質源となります。
カカオパルプを活用することで、農家はフェアトレードプログラムにおけるプレミアム価格の2倍近く、レインフォレスト・アライアンス認証の6倍以上にあたる、1トンあたり376ユーロ(約66,000円)の追加収入を得られるように。
外部調査では、このモデルでカカオ農家の96%が生活が改善したと回答。Koaはガーナ・イースタン州にカカオの実の加工工場も運営しており、1万軒の農家に収入をもたらしてきました。
共同創業者でCEOのAnian Schreiberは、「私たちが影響を与えられない事柄に満ちた世界において、カカオの実ほど大きな影響力を持つものは珍しい。私たちが制御し得るシンプルなものの一つだが、世界を変える可能性を秘めている」と語っています。
同社はこれまで、チューリッヒ工科大学(ETH Zurich)およびスイスのチョコレートメーカーFelchlin(フェルクリン)と共同で、カカオの実を丸ごと使用したチョコレートバーの開発を実施。
その製造工程では、外皮と果肉を混ぜ合わせて砂糖の代わりとなる甘いココアゲルを作り出し、これをカカオ豆から得られたカカオマスとブレンドします。
カカオの実を活用した革新的な取り組みを行うその他の企業としては、Blue Stripes、Cabosse Naturals、CaPao、Pacha de Cacaoなど。ネスレも、カカオの実の利用率を最大30%向上させる新たなチョコレートの製法開発により、廃棄物削減を目指しています。
参考記事:
Koa Tackles Chocolate Industry Waste with ‘World’s First’ Cacao Fruit Shots
Koa tackles cocoa crisis with new shot drinks based on cocoa pulp
Koa claims a global first in creating cocoa-based shots – Confectionery Production
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