学校における植物性ミルクの普及拡大法案、米上院を全会一致で通過

米国の公立学校の児童に対し、学校の昼食において乳製品フリーの代替ミルクを選択する権利を認める法案「FISCAL Act」が、上院を全会一致で通過しました。
現行の制度下で生じているフードロスの削減とともに、食事の多様性確保に向けて大きく前進しています。
対象児童の約半数が乳糖不耐症と推定
現在の連邦法は、保護者がアレルギーなどに関する医師の診断書を提出した場合に限り、生徒に牛乳の代替品を提供することを認めており、学校側が積極的に植物性ミルクを提供するのは禁じられています。
John Fetterman上院議員(ペンシルベニア州選出の民主党員)が提出した「学校の食堂および昼食の自由に関する法案(FISCAL Act)」は、学校に代替ミルクの提供を認めるとともに、親や法定後見人からの申し出に基づいて提供するよう義務付けるもの。
Switch4Goodの創設者であり、ヴィーガンのオリンピックメダリストとしても知られるDotsie Bausch、非営利団体のAnimal Wellness Action、そしてCenter for a Humane Economyの代表Wayne Pacelleが推進しています。
全米学校給食プログラム(NSLP)の約80年の歴史で初めて植物性ミルクを提供する権限を学校に付与するこの法案は、超党派の支持を得ており、6月上旬には米上院農業委員会でも全会一致で承認されていました。
現行のNSLPでは、未開封のまま廃棄される牛乳パック(提供量の30%)に毎年4億ドル(約625億円)の税金が費やされているというほど、多くの無駄を生んでいることが問題視されています。
また、NSLPの対象となる児童のうち、約半数の1,500万人は乳糖不耐症であるとも推定されており、状況の改善が求められていました。
80年間牛乳のみを義務付けてきた制度に終止符
Bauschはこれまで、国の食生活ガイドラインをより植物性食品を重視した内容に改定するよう米国農務省(USDA)に要請するなど、政府機関に向けた呼びかけに力を入れてきました。
その結果、最新版のガイドラインでは大豆が栄養源として推奨され、女性・乳児・子供のための栄養補助プログラム(WIC)でも植物性食品を重視した改定が行われるなど、一定の成功を収めています。
自身が主要な推進者となっている「FISCAL Act」についてBauschは、「科学的な妥当性を持ったこの法案は、膨大な量の食品廃棄物と闘い、わが国の学校で80年間牛乳のみの提供が義務付けられてきた状況に正式に終止符を打てるだろう」とコメントしました。
米国において上院で可決された法案は、続いて下院で採決され、大統領の署名を経て正式な法律として制定される流れ。最近行われた調査では、米国人の成人中3分の2が「学校では植物性食品や乳製品フリーのミルクを提供すべき」と回答していることからも、同法は広く国民の支持を得られるものとみられます。
この調査を実施した、責任ある医療のための医師会(Physicians Committee for Responsible Medicine)のNeal Barnard会長は、「児童の栄養管理に保護者の判断を取り入れることも、健康的な乳製品フリーミルクの提供を妨げている不要な規制を撤廃することも、現時点では大幅に遅れている」と指摘しています。
法制定に向けての主要な懸念事項となるのは、米国最大の農業ロビー団体American Farm Bureau Federationによる反対。今年だけで32万5,000ドル(約5,080万円)をロビー活動に使っている同団体の動きは、上下両院の投票結果に大きな影響力を持つ可能性があります。
参考記事:
US Senate Passes Bill Giving Children the Right to Plant-Based Milks in Public School Lunches
US Senate Passes Bill to Expand Access to Non-Dairy Milk in School Lunches


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