Joes Future Foodが中国最大の培養肉工場の建設と、2,000リットルの試験生産を完了

中国・南京に拠点を置く培養肉メーカーJoes Future Food(周子未来)が、国内最大規模とされるパイロットプラントの建設を完了させました。すでに2,000リットルのバイオリアクターを用いた培養豚肉の試験生産を完了しており、1カ月以内に稼働が可能な状態となる見通しです。
1万トン規模への拡張も視野に
新設されたパイロットプラントは、細胞株の樹立から、高価なウシ胎児血清(FBS)を用いない低コスト無血清培地、大規模なバイオプロセス、包括的な食品安全保証システムまでのあらゆる要素を統合。これにより年間10~50トンの生産が可能になり、将来的に1万トン規模への拡張も視野に入れています。
Joes Future Foodは2019年、南京農業大学のZhou Guanghong教授率いるチームが国内初の培養肉プロトタイプを開発したことを受け、この技術の産業化を目的に設立されました。
2021年に7,000万元(約15億5,000万円)の資金調達を行い、2023年には500リットルのバイオリアクターを用いた検証に成功。
3Dプリントによる構造化で形状と食感を再現した豚バラ肉、培養豚肉とマイコプロテインを融合したハイブリッド製品「Honeycomb Meat」、培養肉チップを合わせたコンソメジュレに至るまで、多様な食体験の創出に取り組んでいます。
中国とシンガポールで申請手続きを進める
Joes Future FoodのCEOを務めるShijie Dingは、「培養肉産業は世界的に加速しており、現在5カ国で規制認可が下りて複数の企業が市場に参入している。2,000リットル生産の達成は、この世界的な動きの中で中国が主導的役割(特に培養豚肉分野での)を果たせることを示しており、持続可能なタンパク質の未来における当社の地位を強化するものだ」とSNS上でコメントしました。
同社は中国での市場化に向け、通常の安全性評価に加えて必要となる動物毒性試験のデータを準備中で、技術面の安全性評価は2026年末までに完了する見込みです。
ただし、中国政府が培養肉を新規食品として承認するまでにはまだ時間がかかる可能性もあるとみて、並行してほかの地域での認可申請を進めるとし、シンガポール食品庁(SFA)には申請済みとのこと。認可が得られ次第、まずはポークチョップなどの料理の展開から試みる予定としています。
Dingは「培養肉の時代はすでに到来している。より持続可能で安全かつ強靭な食料システムの構築に尽力したい」と記しています。
培養肉市場化の地盤が整いつつある中国
中国では今年、政府支援や消費者の受容度の高まりが見られ、北京に代替プロテインのイノベーションセンターも新設されるなど、培養肉エコシステムが大きな進展を遂げました。
国家としての年間の最優先目標を示す「中央一号文件」には「多様な食料供給システムの構築」を掲げ、新たな食料資源の開拓を含む取り組みを明記。
全国人民代表大会(全人代)と中国人民政治協商会議(政協)を合わせた毎年恒例の「両会」では、農業農村部が代替プロテインの安全性と栄養効果を強調し、高官らがバイオものづくりをはじめとした戦略産業のより深い統合を求めました。
中国はまた、培養肉分野の特許出願上位20社中8社を擁しており、Joes Future FoodはUPSIDE Foodsに続き世界で2番目に多い25件の出願を行っています。
消費者調査においても、北京や上海、広州などの主要都市では77%の人が培養肉を試してみたいと答え、45%が従来の肉を培養肉に置き換える可能性があると回答しました。
参考記事:
Shijie Ding | LinkedIn
Joes Future Food Commissions “China’s Largest” Cultivated Meat Pilot Plant
Joes Future Food Completes Construction of China’s Largest Cultivated Meat Facility
Joes Future Food brings cultivated pork to 2,000-liter scale in China pilot plant milestone | PPTI News


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