Umami Bioworks、スキンケアなどで注目される海洋由来成分の展開へ向け、細胞培養プラットフォームを拡張

シンガポールを拠点とするバイオテクノロジー企業Umami Bioworksが、海洋由来の生物活性物質を展開するブランド「Marine Radiance」を立ち上げ。スキンケアや医療用途に向けた、世界初となるアニマルフリーのポリデオキシリボヌクレオチド(PDRN)を発表しました。
ニーズの高まる海洋成分へのアクセスを拡大

Umami Bioworksでプロダクトマネージャーを務めるGayathri Maniは、「効果の高い海洋成分へのアクセスを長い間制限してきた、不安定なサプライチェーン、倫理的懸念、品質のばらつきに対処するためにこのラインを立ち上げた」とコメント。
シリーズの第一弾として、アニマルフリーのポリデオキシリボヌクレオチド(PDRN)を発表しました。
アンチエイジング・スキンケア、創傷治癒、再生医療に使用される化合物PDRNは、現在サケの精子から調達されています。
この従来の手法では、サケの生殖器をグローバルなサプライチェーンを通じて輸送する必要があり、その過程で物流、倫理、バイオセキュリティ上の懸念が避けられないものとなっていました。
Umami Bioworksの新しいPDRNは、制御された環境下で細胞株を培養することにより生産されるもの。このアプローチでは生体の捕獲を必要とせず、生物学的に同等な成分を生産でき、生産規模の拡大や地域化が可能になります。
パートナーと協力して共同開発を実施中
Umami Bioworksはこれまで、ペットフード、白身魚のフィレ、キャビアなどの培養シーフード生産に注力してきました。同社独自の「ALKEMYST」プラットフォームは、細胞培養にAIを活用して迅速かつ正確な研究開発を実現。
昨年、水産業界向けの病原体検出ツールを開発してタンパク質ポートフォリオからの多角化を図っていましたが、このたび既存のプラットフォームを拡張して、また新たな分野へと進出しました。
PDRNは、Kビューティー(韓国コスメ)で注目され、特にスキンケア分野で急成長を遂げている成分。コラーゲンを合成して色素沈着を軽減する能力があることが研究で示唆されており、パーソナルケアと医療用途の両方での使用増加により、世界のPDRN市場は急速に拡大すると予測されています。
Umami Bioworksは、すでにスキンケアおよび再生医療業界のパートナーと協力して、PDRNをベースとした新しい製剤を開発中。価値の高い海洋成分をターゲットとすることで、細胞培養品であっても従来品と同等の価格を実現できる見込みです。
Maniによると、「最初の上市は、スキンケアや美容サプリメント業界における厳選されたB2Bパートナーを通じて行われる予定」。「第4四半期までに生産規模を拡大し、パートナーが新しい処方を迅速かつ確実に市場に投入できるよう目指したい」としています。
参考記事:
Umami Bioworks Marine Cell Cultivation Delivers PDRN Without Reliance on Salmon Sperm Harvesting
Umami Bioworks Expands AI Platform for Cell-Based Marine Bioactives
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