精密発酵を手掛けるOnego Bioが、アニマルフリー卵白タンパク質のFDA GRAS申請を実施

フィンランドと米国に拠点を置く精密発酵企業のOnego Bioが、卵白タンパク質オボアルブミンについて、米国食品医薬品局(以下、FDA)へのGRAS通知を行ったと発表しました。

EUに先立ち、米国での商業化に注力


オボアルブミンは卵白に含まれる主要なタンパク質で、Onego Bioは糸状菌のトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)を用いた精密発酵により、その複製に成功。

「Bioalbumen」と名付けられたこのアニマルフリーの粉末製品は、天然の卵タンパク質と同じアミノ酸配列を持ち、さまざまな用途で従来の卵をそのまま置き換える形で使用できます。

生産に係る環境影響は従来の卵よりはるかに低く、温室効果ガス排出を89%、土地の利用を95%、水の消費を87%削減できるとのこと。また、鳥インフルエンザにより脅かされている、食の安全やサプライチェーン上の問題も解決することが可能です。

同社は以前から、精密発酵原料の認可が遅れているEUより先に、北米でのBioalbumenの商業化に重点を置いていると述べていました。今回のGRAS申請は、この目標に向けた重要なマイルストーンとなります。

米国での発売にあたっては、GRAS(Generally Recognized As Safe)ステータス取得のため、安全性試験の結果などを示した書類をFDAに提出することが必要。Onego Bioは、来年には「質問なし」のレターを受け取って販売を実現させ、上手くいけば初の収益を上げることが可能と見込んでいます。

自社で生産施設を構える計画も


Onego Bioは先月、カリフォルニア州サンディエゴに、オフィススペース、高度なラボ機能、テストキッチンを備えた5,000平方フィート(約460平方メートル)の米国本社を開設しました。

さらに、ウィスコンシン州ジェファーソンにある25.9エーカー(約10万平方メートル)の土地を購入する基本合意書(法的拘束力は持たない)に署名。初期投資額は777,000ドル(約1億2,300万円)で、立地評価を行う12カ月のデューデリジェンス期間を含んだ契約内容となっています。

現在は共同製造業者と提携していますが、サプライヤーや顧客との距離が近く物流面で有利という米国中西部に新施設を立ち上げ、Bioalbumenの生産を行う計画です。

同社のシステムでは、発酵タンク1基で最大200万リットルの生産能力を誇り、600万羽の鶏が産む卵に匹敵する量のタンパク質を生産可能。

この計画に先立ち、今年4月にシリーズAラウンドで4,000万ドル(約63億1,000万円)調達、7月には欧州イノベーション会議(EIC)のプログラムで1,400万ユーロ(約23億円)獲得して資金を確保しました。

参考記事:
Onego Bio Submits GRAS Notification to FDA for Animal-Free Egg White Protein Bioalbumen
Onego Bio Files GRAS Notice to FDA to Sell Animal-Free Egg Protein in US
Finnish company Onego Bio specifically targeting the Midwest for expansion
Onego Bio eyes Wisconsin site for chicken-free egg production, files GRAS notice

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