CULT Food ScienceとUmami Bioworksが、世界初の培養魚キャットフードを発表
カナダの培養肉企業CULT Food Scienceと、シンガポールの培養魚メーカーUmami Bioworks(旧称:Umami Meats)が提携し、培養ペットフードブランド「Marina Cat」の立ち上げを発表しました。
世界初の培養魚キャットフードが誕生
Umami Bioworksはこれまで、細胞培養によるフィッシュボール(つみれ)、フィッシュケーキ、ハタの切り身の開発に成功。一方のCULT Food Scienceは、Eat Just、MeliBio、Compound Foods、Umami Bioworksなど18社を投資先に持つ、フードテック分野のパイオニア企業です。
つい先日には、培養チキンを用いたペットフードを開発する韓国企業のEverything Butとの間で、米国市場向けドッグフードの新ブランド用に、細胞株供給を受ける新契約を締結しました。
CULT Food ScienceがUmami Bioworksに投資した目的の一つは、培養シーフード市場のコストを下げることでしたが、今回の提携ではMarina Catという新ブランドが誕生。
この細胞培養キャットフードは、Umami Bioworksの培養マダイと、CULT Food Scienceが特許を持つ栄養酵母と発酵成分をブレンドした培養成分「Bmmune」を組み合わせたものとなる予定です。
高タンパク・低カロリーでオメガ3・6・9脂肪酸を多量に含み、猫の認知機能向上が期待できる世界初のキャットフードだといいます。年内の生産開始を目指しており、来年には広く普及させられると見込んでいます。
超巨大市場の攻略なるか
ペットフードは1,440億ドル(約21兆1,100億円)という超巨大市場であり、2028年まで毎年5.3%の成長が見込まれています*1。また、ネコは完全肉食動物であるため、当然肉の消費量を減らすこともできません。
このような状況下で、すでに多くのヴィーガンペットフードのブランドが登場しているものの、培養ペットフードはまだ非常にニッチな分野にとどまっています。
現在動きが見られる企業としては、米国とウィーンを拠点とするBioCraft Pet Nutrition(旧称:Because Animals)が2021年に、培養マウスを用いた世界初の培養肉ペットフードを発売。そのほか、2020年にペット用の培養チキンを発表したBond Pet Foodsや、昨年培養チキンのドッグフードを開発したWild Earthなどがあります。
2017年に行われた消費者調査によると、ペットを飼う人のうち、培養肉を自分で食べることに前向きな人は32.5%。しかし、培養肉を自分のペットに食べさせてもいいと考える人はこれより多く、半数近く(47.3%)となっていました。
少し古いデータのため、培養肉のメリットが認知されてきた昨今では、この割合はいくらか高まっていると考えられます。
*1 https://www.statista.com/outlook/cmo/food/pet-food/worldwide
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