米Fork & GoodがOrbillion Bioを買収、培養肉プラットフォームのグローバル展開へ

米国・ニュージャージー州の培養肉企業Fork & Goodが、カリフォルニア州のOrbillion Bioを買収し、事業の統合を発表しました。統合後は北米、アジア、欧州、中東にまたがって事業を展開し、培養肉製品の市場投入を加速させる狙いです。

障壁を乗り越え、競争優位性の構築へ


今回の買収により2社の技術スタックが統合され、培養肉分野で最大規模の知的財産ポートフォリオを構築するとうたわれています。

両社とも共同開発契約やオフテイク契約(長期供給契約)など、食品メーカーとの間で複数の商業契約を締結しており、ブタ筋細胞の培養システムを開発するFork & Goodは、北米とアジアにおけるパートナーシップを通じてすでに収益を計上

一方、ウシの細胞培養に注力するOrbillion Bioは、2次元培養を3次元培養へ記録的な短時間かつ低コストで変換できるアルゴリズムを開発し、200リットルでの生産試験を完了。2022年には、オランダに拠点を置き1,200カ所の流通拠点を有するLuiten Foodと提携して、欧州で従来型の食肉企業と商業契約を結んだ分野初の企業となりました。

同社CEOを務めたPatricia Bubnerは、Fork & Goodの最高執行責任者(COO)に就任します。

昨今の厳しい資金調達環境についてBubnerは、「現実世界のソリューション構築には時間を要し、特に培養肉分野ではそうだ。それでも食肉市場は2兆ドル規模の成長機会であり、Fork & Goodの事例のように初期の障壁を乗り越えれば、強固な競争優位性が生まれる」と指摘。

「この価値を理解し、長期的な影響力にフォーカスするパートナーや戦略的投資家は、短期的な関与を示す観光客的な投資家が去っていく中でも、依然として高い関与を維持している」と話しています。

グローバルな顧客基盤を強化


Fork & Goodは、培養肉業界のパイオニアで現在はレザーの代替素材を中心に手掛けるModern Meadowからのスピンアウト企業として、最初期に確立された知的財産を基盤に設立された企業。

昨年、スイス・ダボスで培養豚肉30%入りのダンプリングを提供して、欧州で培養肉の一般向け試食イベントを開催した初のスタートアップとなりました。

ニュージャージー州のパイロットプラントでは、800平方フィート(約74平方メートル)に満たないスペースで約7トンの生産が可能。商業規模への拡大により、細胞バイオマス1ポンドあたり5ドル(キロ単価約1,690円)の生産コストを目標としており、最終的には従来の豚肉と同等の1ポンド2ドル(同677円)まで引き下げる計画です。

統合後の生産は、このパイロットプラントに加えて、Orbillion Bioのアラブ首長国連邦(UAE)子会社で継続されます。

Fork & GoodのCEOを務めるNiyati Guptaは、この買収が地域をまたいだ同社の市場ポジショニングを強化するとコメント。「欧州と中東におけるOrbillion Bioの顧客基盤をつなげられるのを楽しみにしている。サプライチェーンの解決策を提供するのに食品メーカーを5~10年も待たせることなく、今すぐに製品を改善し、レジリエンスを生み出せるよう支援したい」と述べました。

参考記事:
Orbillion Bio | DocSend
Fork & Good Consolidates Cultivated Beef and Pork Production with Orbillion Acquisition
Exclusive: Fork & Good Acquires Orbillion to Take Cultivated Red Meat Platform Global
The Week in AgriFoodTech: Fork & Good acquires Orbillion Bio, $100m regen ag fund, Beyond Meat in court

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