Solar FoodsとFazer、空気由来のタンパク質原料を用いたチョコレートを発表

フィンランドのSolar Foodsが、同国の首都ヘルシンキを拠点とする食品大手Fazer Groupとの提携により、シンガポールでの展開を拡大。

空気由来のタンパク質原料「Solein」を使用したチョコレートスナックバー「Taste the Future」を、シンガポールのThe Cocoa Trees 5店舗で限定提供します。

Soleinを用いた製品で初の小売り展開


北欧諸国を中心に人気のチョコレートなどを展開し、2022年には11億ユーロ(約1,770億円)の売上を計上しているFazer。

排出削減目標と100%持続可能な調達を行うという目標を達成するため、代替プロテインへの取り組みも積極的に進めており、Solar Foodsの筆頭株主でもあります。

パーム油不使用を謳う「Taste the Future」には、責任ある調達によるカカオから作られたヴィーガンチョコレートを使用。ヘーゼルナッツとストロベリーを加え、北欧産オーツ麦のパフ(サクサクとした粒状に膨らませたもの)と、2%のSoleinパウダーを配合しています。

Soleinを配合することで、鉄と結び付いたタンパク質が腸からの吸収を促し、植物性中心の食生活では不足しがちな鉄分を効果的に補えます。

水素をエネルギー源とする微生物の発酵により生み出されるニュートラルな風味のタンパク質「Solein」は、昨年夏にシンガポールのレストランFicoで提供されるヴィーガンジェラートの原材料としてデビューを飾りましたが、小売りへの展開は今回が初。

シンガポールのスイーツ店The Cocoa Treesの5店舗で、Fazer製品を30シンガポール・ドル(約3,300円)購入するごとに「Taste the Future」1枚と引き換えられるキャンペーンを、2月18日まで実施します。

大規模工場の完成が間近に迫る


Solar Foodsは今年前半にも、年間160トンのSoleinを生産可能な初の大規模工場「Factory 01」の稼動開始を予定。今回の限定キャンペーンは、栄養価の高い消費者向け製品の、将来の市場展開に向けたテストと位置付けています。

同社CEOのPasi Vainikkaは、「今回のシンガポールでの導入により、新しい製品カテゴリーにおけるSoleinの可能性について消費者の貴重な意見が得られ、未来の原料が受け入れられるかどうかを試すことができる」と述べています。

Soleinは2022年9月、シンガポールの規制当局から新規食品としての認可を取得。その可能性は投資家たちにも認められ、昨年11月のシリーズBラウンドでは約13億円獲得しました。

累計調達額は4,300万ユーロ(約69億2,000万円)を超えており、Factory 01の建設に向けて3,400万ユーロ(約54億8,000万円)の助成金も獲得。さらにFactory 02も計画中で、「欧州に建設すること」を条件に7,600万ユーロ(約122億円)を確保しています。

Vainikkaによると、EUにおける新規食品の認可プロセスも、2025年末までに完了する見込み

すでにハンバーガーや卵、ミートボールなど20種類以上の食品でSoleinの可能性を実証しており、2025〜26年にかけては欧州でより広範囲に、より多くの製品発売を目標としているとのことです。

参考記事:
A new snack bar launched in Singapore demonstrates the versatility of Solein®
Fazer introduces world-first Taste the Future chocolate snack bar powered by Solein® in Singapore
A Snack Bar Made From Air: Fazer Unveils Limited-Edition Chocolate Bar Using Solein

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