代替脂肪開発のMelt&Marbleが商業生産の可能な新本社への移転を完了、2025年までに米国進出へ

スウェーデンの精密発酵企業Melt&Marbleが、研究開発と生産能力を拡大した新本社をオープンしたと発表しました。

数万リットルの発酵生産が可能に


新しく開設した本社施設は、最先端の分子生物学・微生物学の研究所、パイロットスケールのバイオリアクター、そして代替肉などの製品で同社の脂肪をテストするためのキッチンを備えています。

Melt&Marbleによると、すでに千リットルまでの生産スケールアップに成功しており、新施設の生産能力では数万リットル規模での商業生産を達成できる見込み。

共同創業者でありCEOを務めるAnastasia Krivoruchkoは、「この数カ月間に発酵速度、力価、収率などのKPIを絶えず改善させ、商業規模に関連する指標を達成することに成功して、プロセスのスケールアップが可能なことを実証できた」と語っています。

さらに、1バッチあたり数百kgの脂肪を生産できる製造パートナー(CDMO)を確保しており、2025年にはさらにトン単位まで拡大できる可能性があるとしています。

組成や特性を細かくデザインした代替脂肪


Melt&Marbleはまた、2025年初頭までに代替脂肪を米国市場に投入する計画。米国食品医薬品局(FDA)は、精密発酵原料を含む新規食品について、GRAS(Generally Recognized As Safe)ステータス取得により販売を認める道筋を確立していることから、進出の可能性を見いだしています。

一方欧州では、新規食品成分を規制する欧州食品安全機関(EFSA)の枠組みはより厳しいものとなっており、これまでに精密発酵原料が認可された例はありません。

動物性脂肪は食肉の美味しさと口当たりに不可欠な役割を果たしていますが、Melt&Marbleは、代替肉にとって「味」と「食感」の改善は依然として課題に挙げられると主張。

同社初の製品である、動物性脂肪の特性を模倣した固形の代替脂肪を用いることで、代替肉がこれらの面で動物肉に匹敵するようになるといいます。

独自技術により、脂肪酸を含む脂肪の組成と特性を細かく制御することが可能になり、ゼロから「デザイナー」脂肪を作り出すことができるとのこと。

精密発酵油脂は、ココナッツオイルやココアバター、パーム油、その他農業由来の脂質の代替による持続可能な食品の製造において大きな可能性をもたらすものとみられていますが、このような細かな調整がなされた油脂は、さらに消費者の嗜好や食のニーズを満たしていくのに役立つでしょう。

参考記事:Melt&Marble Unlocks Commercial-Scale Production for Animal-Free Designer Fat, Sets Sights on US Market by 2025

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