シンガポールのImpacFat、培養魚脂の開発にAI主導の成分探索を導入する提携を実施

シンガポールのフードテック企業ImpacFat(インパクファット)が、人工知能(AI)を活用した成分探索技術の導入によって培養魚脂の商業化を加速させるため、隣国マレーシアのM3TRIQ提携しました。

オメガ3脂肪酸が豊富な培養脂肪の市場化へ


フードテック業界で、成分探索から製造プロセスの最適化に至る幅広い用途でAIの活用が進む中、ImpacFatも新たにAI企業との提携に乗り出しました。

M3TRIQは、次世代成分の創出に向けた分子設計やタンパク質の探索に、自律型(エージェント型)AI技術を用いています。ImpacFatはこの専門知識を活用して、スキンケア、サプリメント、代替プロテイン製品向けの培養脂肪の開発を進める予定です。

ImpacFatは2019年、幹細胞生物学者でシンガポール科学技術研究庁(A*STAR)の主任研究員である杉井重紀氏と、現CEOのMandy Honによって設立されました。

ウナギやパンガシウス(食用ナマズの一種)といった高級魚種の細胞を採取し、際限なく増殖できる細胞株を開発。制御されたバイオリアクター内で脂肪細胞を成長させ、その後収穫します。

こうして得られる成分は、不飽和脂肪酸やオメガ3脂肪酸を豊富に含んでおり、後者の含有量は天然のクロマグロを上回るほど。現在は5リットルのリアクターで生産を行いつつ、10〜50リットル規模への拡大に取り組んでいる最中です。

パーソナルケア分野で初めの製品化を計画


M3TRIQは、分子および成分探索のための独自のAIワークフローを活用して、ImpacFatの細胞培養技術におけるコスト削減と収率向上を実現する成分の特定を行う予定。

品質、拡張性、そして産業への適合性を重視しつつ、プロセス効率を改善し、培養魚脂生産の費用対効果を高める目的です。

両社はまた、魚脂にとどまらず、細胞培養の効率向上によって大きな産業的価値が生まれる可能性のあるヒト用バイオ医薬品の生産など、ほかのバイオ製造分野における長期的な関連性についても示唆しています。

ImpacFatのHonはSNSへの投稿で、「バイオテクノロジーの次の波は、AIと生命科学の融合によってもたらされるとみている。今回の提携は、革新的な技術で健康寿命を延ばすというビジョンの実現に向けた、さらなる一歩だ」と述べました。

同社はまずパーソナルケア分野で市場参入を果たす予定で、シンガポールと韓国の化粧品市場をターゲットに、抗炎症作用などのある幹細胞培養上清液やエクソソームをベースとした有効成分の開発を進めています。

また、食品市場への展開も見据えており、ハイブリッドのシーフード向けに培養脂肪の利用を見込んで、東洋製罐グループ不二製油Esco Asterなどのパートナーと連携しています。

昨年、同社は新たな資金調達とともに日本市場へ進出しました。東京に研究・運営拠点を設立し、早ければ年内のスキンケア製品発売に向けて準備を進めています。

参考記事:
ImpacFat Nets Deal to Advance Cultivated Fish Fat with AI-Led Ingredient Discovery
ImpacFat partners with M3TRIQ to use AI in bid to cut cultivated fish fat production costs | PPTI News

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