ドイツの業界団体CellAg Deutschland、細胞農業に関する初の国家行動計画を公表

ドイツにおける細胞農業の業界団体CellAg Deutschlandが、欧州連合(EU)の資金提供プログラム「Horizon Europe」の支援を受けて2023年末に始まった研究プロジェクト「FEASTS」の一環として、初の包括的な国家行動計画を公表しました。

規制プロセスの期限設定などを提言


この行動計画は、学術界、産業界、スタートアップ企業、農業セクター、政策立案者との広範な協議から得られた知見をまとめたものであり、ドイツ連邦政府およびEUがとるべき科学的根拠に基づいた行動の選択肢を提示しています。

CellAg Deutschlandは、EUの現行の「新規食品(Novel Food)」に関する認可手続きを取り上げ、これが構造的な障壁になっていると指摘しました。関連規則では手続き期間を17カ月と定めているものの、実態は平均3年以上を要しているとのこと。

また、最終的な承認が「植物、動物、食品及び飼料に関する常任委員会(SCoPAFF)」という政治的機関によってなされるため、科学的に安全性が認められた製品であっても承認を阻まれる可能性があるとして、批判の対象になっています。

規制面において、本行動計画は、申請に関して助言サービスを提供する国内窓口の設置、中小企業向けの申請費用の共同負担制度、および細胞培養食品の各カテゴリーに対応した申請書類のひな型の導入を提言。

EUレベルでは、各審査段階における法的拘束力のある期限設定、欧州食品安全機関(EFSA)の肯定的な見解と異なる決定を加盟国が下す場合の書面による理由公表、そして企業がより小規模な製品量でも審査を開始できる段階的申請プロセスの導入を求めています。

また、ドイツ政府に対し、EUバイオテクノロジー法案(Biotech Act)に関する三者協議において、「規制サンドボックス」の対象から新規食品を除外する規定* を削除するよう働きかけることも促しました。ドイツが同法の趣旨とEUのタンパク質戦略を支持している以上、除外規定はその姿勢と矛盾するものだと指摘しています。

* 参考:新規食品を規制サンドボックスの対象に —大手食品企業などで構成される業界7団体がEUに要請

技術面の強みを生かす政治的枠組みに


資金調達面に関しては、スケールアップとパイロットプラント建設のための資本が最優先すべき段階として言及されました。

推奨策として、民間資本と同額を政府が拠出する共同出資制度の導入や、細胞農業を明示的に対象とした連邦農業・食料・故郷省(BMLEH)および連邦研究・技術・宇宙省(BMFTR)レベルでの専用助成プログラムの実施が挙げられています。

他国に目を向けると、オランダは国家成長基金(National Growth Fund)を通じて細胞農業のプログラムに6,000万ユーロ(約106億円)を割り当てており、行動計画はこの取り組みを有効なモデルケースと評価しています。

また農業面については、現実的な参入機会は上流工程(培地の原料供給、生検サンプルの提供、エネルギー供給など)にあるとの見解が示されました。一方で、農業専門家の間では、無菌状態の維持や多額の設備投資が必要となることから、オランダで実現しつつあるような農場でのバイオリアクターを用いた培養生産については懐疑的な見方が根強く残っています。

最後に、国民の信頼獲得に関しては、認可前の試食機会を提供する国内制度の導入、エネルギーや水・土地の利用、排出量に関する独立した持続可能性データの提示、そして生産技術ではなく製品の特性に焦点を当てた消費者コミュニケーションの実施が推奨されています。

参考記事:
CellAg Deutschland | LinkedIn
CellAg Deutschland Publishes Germany’s First National Action Plan for Cellular Agriculture

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