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廃棄物とCO₂から微細藻類タンパク質を得る「ALGANOVA」プロジェクト、EUから約10.6億円の投資を得て始動

廃棄物やCO₂を栄養源とする微細藻類からタンパク質や機能性成分を生産するバイオリファイナリーの構築を目指す新プロジェクト「ALGANOVA」に対し、EUが570万ユーロ(約10億6,000万円)の資金を投入しました。

微細藻類を用いてタンパク質や脂質を作る


2026年6月1日付で新たにスタートした4年間のプロジェクト「ALGANOVA」は、スペインのIdener Research & Developmentが主導し、そのほかFraunhofer IVV、Algemy Ingredients、スウェーデン国立研究所(RISE)、新リスボン大学(NOVA)、ITQB NOVA、Zero Emissions Engineeringなど12の機関が参画。

資金は、循環型バイオエコノミーの推進プロジェクトを支援するEUの官民パートナーシップ、Circular Bio-based Europe Joint Undertaking(CBE JU)が拠出しました。

農業・水産業の副産物や産業活動で排出されたCO₂を栄養源として生育できる微細藻類のバイオマスから、タンパク質や機能性成分を得るための、最新のデジタル技術を活用した循環型バイオリファイナリーの開発と実証を行います。

具体的には、EUにおいてすでにヒトの食用として安全性が認められ、広く商業利用されているクロレラChlorella vulgaris)とドナリエラDunaliella salina)を活用。独立栄養培養と従属栄養培養*1 を組み合わせて行い、タンパク質抽出物、健康に有益な多価不飽和脂肪酸、カロテノイドを生産します。

*1 独立栄養培養は、屋外の池などで自然光と空気を用いて培養を実施。従属栄養培養は、屋内の培養タンクに糖などを供給して培養を行う手法。

デジタルツインなどの最新技術を活用


EUのタンパク質市場は依然として動物性タンパク質(食事によるタンパク質摂取量の約55%を占める)に大きく依存しており、こうした状況が環境や健康への懸念を引き起こしてきました。例えば、牛肉を1kg生産するには最大2,700リットルの水が必要となり、CO₂換算で約60kgの温室効果ガスが排出されます。

「ALGANOVA」は、廃棄物や排ガスを微細藻類を育てるため最適化された原料に変えることでこの課題に対処し、EUにおけるタンパク質供給の転換とサーキュラーエコノミー(循環型経済)の推進に資する狙いです。

ITQB NOVAで本プロジェクトを率いるFrancisco Nascimentoは、「ポルトガル国内の河川から採取した微細藻類を調査し、バイオマスやその他の有用な製品を得る可能性の評価を行っている。また、代替の培地を用いる手法で、どの程度までバイオマス生産量を増やし、コストを削減できるかについても研究する予定だ」と述べました。

本プロジェクトでは、コンピュータによる計算・解析ツールやバイオリアクターのデジタルツイン*2 を用いてバイオリファイナリーの設計と最適化を行い、バイオマスおよび原料生産に向けた中核的なバイオプロセスを、実用化直前の段階である技術成熟度レベル(TRL)7へとスケールアップする計画。

藻類由来原料の安全性、栄養品質、規制への適合度を検証し、食品の試作品を開発するとともに、統合型バイオリファイナリーがもたらす経済的な利点や、気候変動対策上の利点を実証します。

*2 実際の設備に取り付けたセンサーから得られるデータを基に、コンピュータ上の仮想空間で再現して各種のシミュレーションを行う技術。

アップサイクルで自給率向上に寄与


プロジェクトチームは、2030年5月の期間終了までに達成を目指すいくつかの目標を掲げました。

主なものとしては、従来の動物性タンパク質生産システムと比較して、タンパク質1kgあたりの温室効果ガス排出量を少なくとも40%削減し、水使用量を(動物由来や大豆由来のタンパク質を大幅に下回る)300リットルに抑えること、そして生産コストを30~40%削減して3~4ユーロ(約560〜750円)に抑えること。

また、デジタルツイン技術などの導入を通じて、バイオマスの生産性を約15%向上させ、エネルギー消費量を20~30%削減することを目指しています。

その他の環境面での目標としては、農業・水産業の副産物を最大95%アップサイクルすること、そして作物由来のシステムと比較して土地利用を80%削減することも含まれます。

本プロジェクトの成果は、2030年までにEU域内の90機関、約1,800人の研究者に活用される見込み。輸入タンパク質原料への依存を減らして欧州の自給率向上を図り、公衆衛生の改善に寄与するものと期待されています。

参考記事:
Turning algae into food: ITQB NOVA joins European project ALGANOVA — ITQB
EU Invests €5.7M in Project to Produce Microalgae Proteins from Marine Waste & CO2
ITQB NOVA joins €5.7M ALGANOVA project to advance microalgae-derived food ingredients | PPTI News

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