コペンハーゲン大学の研究チームが、菜種油の副産物をゲル状のタンパク質に変換することに成功

ノボ ノルディスク財団の支援を受けたプロジェクトにおいて、コペンハーゲン大学の研究チームが、菜種油の搾りかすからタンパク質を抽出することに成功しました。研究成果は、学術誌『Food Chemistry』に掲載されています。
酵素を用いて貯蔵タンパク質ナピンをゲル化
菜種は世界中で栽培されており、大豆に次いで世界で2番目に重要な油糧作物です。欧州連合(EU)はその最大の生産地であり、年間約1,700万トンを収穫しています。
栽培された菜種の約80%は油の抽出に利用され、その過程で生じる搾りかすの大部分は家畜の飼料として使われてきました。この副産物は栄養価が高く、必須アミノ酸のバランスにも優れています。
菜種にはナピンとクルシフェリンという2種類の貯蔵タンパク質が含まれており、成熟種子のタンパク質含有量のそれぞれ20%と60%を占めています。
コペンハーゲン大学の研究チームはナピンに着目し、酵素を用いて、タンパク質中の特定のアミノ酸を別のアミノ酸に置き換える手法を開発。これによりタンパク質の電荷が変化し、酸性条件下でもゲル化させることが可能になりました。
論文の筆頭著者Shivani Karaliaによると、ナピンは栄養価が高く注目すべきタンパク質ですが、その特性ゆえに食品への利用が難しい場合があったとのこと。
「このタンパク質はグルタミンというアミノ酸を豊富に含んでいるため、私たちはグルタミンをグルタミン酸に変換した。特筆すべき成果は、ゲル化しにくいことで知られていたナピンが、食品に適したpH領域でゲルを形成できるようになった点だ」とKaraliaは説明しています。
抽出されたヨーグルト状のゲルは、代替肉や代替乳製品などの原料として活用でき、タンパク質転換の加速に貢献すると期待されています。
複数の大学でプロジェクトを推進
この取り組みは、総額817万ユーロ(約15億1,000万円)を投じて行われている「SEEDFOOD」プロジェクトの一環として進められているもの。
世界で生産される菜種粕をタンパク質分離物へと転換すれば7億人分のタンパク質需要を賄えるという仮説に基づき、ノボ ノルディスク財団(デンマークの製薬大手ノボ ノルディスクの親会社)の助成を受けて2022年に開始されました。
「SEEDFOOD」は4つの主要テーマで構成されています。コペンハーゲン大学が主導する最初の2つのテーマは、穏やかな技術を用いて不快な風味や抗栄養成分を低減したナピンおよびクルシフェリンの分離物を生成すること、そして酵素や紫外線を活用して菜種タンパク質の構造や物理的特性(溶解性など)を改質し、機能性を高めること。
3つ目はデンマーク工科大学(DTU)が主導し、上記2種類の天然タンパク質の構造、安定性、溶解性、および分子間相互作用の研究に重点を置いています。これにより機能性を設計して、食品用途への適性を高めることを目指します。
最後に4つ目のテーマは、機能的なタンパク質の構成要素(凝集体、マイクロゲル、マイクロカプセル)の開発、菜種タンパク質分離物が食品構造(ゲル、エマルション、高いコロイド安定性を持つ高タンパク質溶液など)を形成する仕組みの解明、そして苦味への寄与を理解することによる風味の改善に取り組みます。この活動は、フランスのル・マン大学が主導しています。
参考記事:Danish Researchers Turn Rapeseed Oil Byproduct Into Gel-Like Protein


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