イスラエルのBrevelとCoffeesai、「光照射発酵」による細胞培養コーヒーの商業化に向け提携

イスラエルのバイオテクノロジー企業Brevelと、コーヒー細胞の培養を専門とするCoffeesaiが提携を発表しました。これまで微細藻類の生産で実証されてきたBrevelの「光照射発酵(illuminated fermentation)」技術を、植物細胞培養の分野へと拡大します。

発酵中に光を照射する独自技術


この提携は、Brevelが独自のバイオ製造プラットフォームの適用範囲を、従来の微細藻類から、培養コーヒーやカカオといった新たな代替原料のカテゴリーへと広げる戦略における重要な一歩となります。

同社独自の「光照射発酵」とは、密閉されたバイオリアクター内での発酵(通常は光のない環境で行う)と、特定の波長を持つ光の照射とを組み合わせた技術で、植物細胞の効率的な増殖を可能にすると同時に、有用な天然化合物を生成するものです。

精密に制御された光を照射して細胞の代謝に働きかけ、風味、香り、栄養価に関わる化合物の生成を促進。

本来は不活性なままの生物学的経路を光で活性化させることで、従来の暗発酵プロセスに伴ういくつかの制約を克服できるといい、初期の試験では、光の照射条件を変えると、生成されるバイオマスの官能特性に変化が生じることが確認されました。

CoffeesaiのCEO、Ami Hermanは初期の成果を「有望なもの」と評価し、大規模生産に向けた道筋を模索する中で、引き続きこのプラットフォームの可能性を検証していく意向を示しています。

気候変動に伴い注目されるコーヒーの代替品


植物細胞培養は、気候変動に対してよりレジリエントなサプライチェーンを求める食品メーカーから注目を集め、投資が拡大している分野であり、BrevelはCoffeesaiとの提携によって、商業規模での生産を支援するプラットフォームの能力を実証する計画。

成功すれば、バイオリアクター内で直接植物細胞を増殖させることで、従来の農業のように土地や水、気象条件に依存せず、年間を通しての生産が可能になります。

気候変動により世界のコーヒー生産に今後ますます大きな負荷がかかると予想される中、この技術は特にコーヒー分野で関心を集めてきました。

業界の予測では、気温の上昇や気象パターンの変化によって、2050年までに現在のコーヒー栽培地の最大半数が栽培に適さなくなる可能性があるとされ、「コーヒーの2050年問題」とも呼ばれています。

このような状況を受け、イスラエル企業のPluriが2024年に培養コーヒー事業に着手するため立ち上げた企業が、Coffeesaiです。そのほか、スイスではスタートアップ企業のFood Brewerが培養コーヒーの開発を進めており、同国の業界大手3社の合弁事業として運営されているバイオテクノロジー施設「The Cultured Hub」は、昨年末にコーヒーも含めた植物細胞培養へとサービスを拡大しました。

他社との連携による事業拡大を進める


気候変動対策を重視するバイオテクノロジー企業として設立されたBrevelは、当初、機能性食品やサプリメント分野における微細藻類の生産のために、光照射発酵技術を実用化しました。昨年にはイスラエルで最大の飲料メーカーThe Central Bottling Companyとも供給契約を締結して、代替乳製品の開発を進めています。

植物細胞培養への進出にあたってBrevelは、イスラエル・イノベーション庁(Innovation Authority)から100万ドル(約1億6,100万円)の助成金による支援を受けました。

Coffeesaiとの取り組みに加え、植物細胞培養を手掛ける米国のAyana Bioや、培養カカオ開発のスタートアップ企業(名称は非公開)とも連携を深めている最中。この新興分野において、より広範な事業展開を目指している様子です。

事業化を推進するため、同社は概念実証(PoC)からパイロット生産、そして最終的に本格的な商業生産へと至る3段階の開発モデルを構築しました。

FSSC22000* およびHACCP認証を取得した生産施設では現在、50リットルから5,000リットル規模の照明付き発酵タンクが稼働しています。

* 「Food Safety System Certification 22000」の略で、食品安全マネジメントシステムに関する国際規格

参考記事:
Brevel expands into plant cell culture with coffee cell-culture partnership | FoodBev Media
Brevel bets on light to unlock the next chapter of plant cell culture | PPTI News

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