分子農業スタートアップのPlantopia、オーツ麦でカゼインを生産する施設の設置に向け約14.7億円を調達

イスラエルのフードテック系スタートアップPlantopiaが、発芽オーツ麦内でカゼインタンパク質を生産する分子農業施設を設立するため、900万ドル(約14億7,000万円)の資金を確保しました。
数カ月以内に新施設の稼働を計画
Plantopiaは2019年、エルサレム・ヘブライ大学で開発された技術を基盤に、Alexander Vainstein、Tal Lutzky、Amir Tirolerの3人によって設立されました。
植物細胞に改変を施し、作物内で動物性タンパク質を発現させる「分子農業」の手法を用いて、牛に頼らずに乳タンパク質のカゼインを生産しています。
今回の資金調達は、乳製品大手のSchreiber FoodsとベンチャーキャピタルのSiddhi Capitalが主導し、さらにイスラエルの乳製品メーカーYotvata Dairy、Arkin Capital、Fresh-Start FoodTech Incubatorが参加しました。これにより、Plantopiaの調達総額は1,600万ドル(約26億2,000万円)を超えています。
同社はこの資金を活用してイスラエル北部のハイファ地区に生産施設を立ち上げ、今四半期中にも稼働を開始する計画。
4種類のカゼインタンパク質すべてを発芽オーツ麦で生産して、アニマルフリーのモッツァレラチーズのような代替乳製品を製造する食品メーカーに販売する予定です。
4種類すべてのカゼインの発現に成功
乳化や安定化、ゲル化といった特性を持つカゼインは、ハードチーズが加熱によって溶けたり、伸びたり、焼き色が付いたりする現象の鍵となる成分です。
牛乳に含まれるカゼインには4つのタイプがあり、それらは「ミセル」と呼ばれる球状の構造を形成して、カルシウムなどのミネラルと結合した状態で存在しています。
この特殊な構造はカゼインの機能的特性を発揮する上で極めて重要なもの。複雑なために再現が難しいとされてきましたが、Plantopiaはこれら4種類すべてのカゼインをオーツ麦で発現させることに成功しました。
農地を利用しない同社の生産プロセスは気候条件に依存せず、従来のカゼインと完全に同等の品質を実現でき、凝固などの機能面でも同じ水準を達成。また、供給価格も従来品同等の1kgあたり15~20ドル(約2,450〜3,270円)を見込んでいるといいます。
「乳タンパク質の開発における聖杯ともいえる、牛乳由来のものと組成が全く同じタンパク質を実現するという成果を収めた」とCEOのLutzkyはコメント。「近年注力してきた開発段階を完了し、現在は商業生産の段階へと移行しているところだ」と述べています。
参考記事:
Molecular Farming Startup Plantopia Bags $9M to Grow Dairy Proteins in Oats
Plantopia raises $9m to commercialise oat-grown casein
Israeli startup Plantopia raises $9 million to make dairy proteins without cows | Ctech


この記事へのコメントはありません。