豪All G、鉄飽和度を低く抑えたアニマルフリーのウシラクトフェリンを米国で発売

オーストラリアのバイオテクノロジー企業All Gが、鉄飽和度を5%未満に抑えた精密発酵ウシラクトフェリン「LFX」を米国市場に投入しました。
鉄の結合能力を高める設計のラクトフェリン
All Gは本製品を、メーカーが商業規模で利用できる初の「アポラクトフェリン」と説明しています。アポラクトフェリンとは、鉄がほとんど結合しておらず、タンパク質の結合部位が空いている状態のこと。
牛乳から抽出される一般的な商業用ラクトフェリンは、加工後に20%程度の鉄飽和度を示しますが、これを5%未満に抑え、ヒトの母乳中のラクトフェリンに似た組成に仕上げています。
同社のCSO(最高科学責任者)を務めるJared Raynesは、「鉄分の調節はラクトフェリンが持つ重要な機能だが、ラクトフェリンの鉄結合部位がすでに埋まっていると、その機能は低下してしまう」と説明。
乳業界がアポラクトフェリンを製造するには、後工程でpHを低下させて、ラクトフェリンから鉄を引き離す処理が必要になりますが、この工程にはラクトフェリンを劣化させてしまうという問題がありました。そのため、アポラクトフェリンの提供は医薬品用途に限られ、通常のラクトフェリンの2倍の価格で取引されているといいます。
「LFX」は、鉄飽和度の低い天然のラクトフェリンを模倣している点が差別化要因となっており、製品への配合を検討する企業から非常に大きな関心が寄せられているとのこと。
「アポラクトフェリンを初めて商業規模で利用可能にすることで、これまでの状況を変えたい」とRaynesは語っています。
6カ月以内にヒトラクトフェリンの発売も計画
2020年にシドニーで設立されたAll Gは現在、中国の受託製造業者を通じて6万リットル規模の生産を行っており、生産量は年間数トン。
CEOのJan Pacasによると、その収率は牛乳由来ラクトフェリンの市場価格を鑑みても採算の取れる水準にあるとのこと。目下、欧州を念頭に、第2の生産拠点設置に向けた協議を進めています。
「LFX」はGRAS(一般に安全と認められる)成分として販売が認められており、2025年1月に自社評価による認証を取得した後、今年4月には成人向け栄養製品への使用に関して、米国食品医薬品局(FDA)から正式な認可レターを受領しました。
All Gはこれを、サプリメント、機能性食品・飲料、および腸内環境の改善、免疫サポート、女性の健康、健康長寿を目的とした製品向けに展開していく方針です。
米国市場向けの出荷もすでに済ませており、顧客企業名は明かされていないものの、サプリメントに使われている様子。10月下旬にラスベガスで開催される「SupplySide Global」に先立ち、複数のブランドとの提携を発表できる見込みとPacasは話しています。
同社は米国での販売認可に先立ち、中国でも精密発酵ラクトフェリンについて初となる認可を取得済み。昨年末には1,000万豪ドル(約11億4,000万円)の資金調達を行う一方、世界有数のウシラクトフェリン生産者であるSavencia Fromage & Dairy傘下のArmor Protéinesとの間で合弁契約を締結しました。
また、ヒトラクトフェリンについても年末までにGRAS自己認証を取得し、6カ月以内の市場投入を予定しています。
参考記事:
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