イスラエルのGavan Technologies、廃棄物ゼロの代替脂肪開発で約12.3億円の資金を調達

動物性脂肪に代わる持続可能な植物性脂肪の開発に注力するイスラエルのGavan Technologiesが、シリーズAラウンドで800万ドル(約12億3,000万円)の調達を完了させたと発表しました。

植物性脂肪のパイロット工場立ち上げへ


2018年に設立されたGavan Technologiesは、前回のシードラウンドで250万ドル(約3億8,500万円)を調達していました。

今回の調達ラウンドではMoreVCがリードインベスターを務め、Lever VC、EIT Food、そしてGavan Technologiesのインキュベーションにも携わったプライベート・エクイティ・ファンドのDarkBoot Groupが参加しています。

この資金を得てGavan Technologiesは、バターをそのまま置き換えて代替乳製品やベーキング製品に使用できる、植物性タンパク質ベースの脂肪「Fatrix」の新たなパイロット生産施設を欧州のキプロスで立ち上げる計画。

早ければ2025年4月に年間200トンの生産能力で稼働を開始し、最先端の代替脂肪ソリューションを欧州の食品市場にデビューさせる予定です。

廃棄物ゼロの生産プロセス


「Fatrix」は、エンドウ豆タンパク質分離物、植物油、水をブレンドしてゲル状(オレオゲル)に仕上げた、クロワッサンからクリームチーズに至るまで、動物性脂肪の機能性を再現した食品原料。

オレオゲルは、動物性脂肪を代替する革新的な技術として近年注目度が増していますが、規制上の制限や食品グレードのゲル化剤の不足が商品化を妨げてきました。

Gavan Technologiesは、タンパク質を脂肪エマルジョンの結合剤として用いる特許技術を開発し、この問題をクリア。さまざまな豆類からタンパク質を抽出する際、植物全体を無駄なく活用することで廃棄物を出さない点が、同社の生産技術の強みです。

Fatrixはニュートラルな味で無臭、汎用性が高く、高温や高圧の加工条件下でも脂肪保持能力を維持できるとのこと。飽和脂肪酸を減らし、トランス脂肪酸は一切含まず、欧州における新規食品規制の対象にもなりません。

これまでの試験で、Fatrixは植物由来のペストリー製品がしばしば欠いている「贅沢なバターの感覚」をもたらせることが実証済み。ある試験では、フランスの菓子パンの一種ブリオッシュにバターの代わりとして使用したところ、飽和脂肪酸を5分の1に減らすことに成功しました。

ホイップクリーム、クリームチーズ、プリンなどにも、増粘剤や安定剤を使用せず機能的価値を付加することに成功しています。

参考記事:
Gavan Raises $8M to Introduce Clean Label “One-to-One” Butter Alternative in Europe
Israeli Startup Churns $8M in Funding for Zero-Waste ‘Butter-Like’ Vegan Fat
Food tech co. Gavan Technologies raises $8m

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