2022年、米国の植物性食品の売上高は1兆円超え —米PBFAレポート

SPINSの統計に基づく米Plant Based Foods Association(植物性食品協会、以下PBFA)Good Food Instituteの報告によると、2022年の米国における植物性食品の売上高は、前年比6.6%増80億ドル(約1兆720億円)に達しました。

ほぼすべてのカテゴリーで売上高が増加し、最大のカテゴリーである植物性ミルク(豆乳、ココナッツミルク等)は、前年比8.5%増の28億ドル(約3,750億円)。一方、売上高の減少が見られたカテゴリーは3つで、植物性代替肉は同1.2%減、アイスクリームは4.5%減、チーズは2%減となっています。

PBFAはレポートの中で、2022年の数字は、植物性食品が真に持続的でレジリエントなカテゴリーであることを示していると述べています。

激しいインフレとサプライチェーンの問題により価格が高騰し、供給にも大きく影響が出た昨年は、全食品メーカーにとって厳しい一年となりましたが、とりわけ植物性代替肉を手掛ける企業の中には、レイオフや営業損失、事業停止に陥った企業も多く見られました。

同カテゴリーの企業は比較的小規模なため、植物性食品の価格は他製品に比べて上昇しやすくなります。にもかかわらず、物価高騰で消費者が支出を控える中であっても、植物性食品を切り捨てたわけではないことが、レポートからは読み取れます。

本調査のデータによると、全体として植物性食品の世帯普及率は60%、リピート購入率は80%。植物性食品の消費者が年々定着していることが示されました。以下、カテゴリー別に詳細を見ていきます。


植物性ミルクは、長らく植物性食品セグメント最大のカテゴリーであり、昨年には米国で販売されたミルク全体の15.3%、乳製品の棚面積の約4分の1を占めていました。世帯普及率は40%、リピート購入率は75%以上。PBFI、米国のスーパー大手Kroger、データ分析企業の84.51°が昨年発表したレポートによると、植物性食品を初めて購入する、または購入量を増やしている消費者の43%が、乳製品の代替として植物性ミルクを選んでいるといいます。

一方、同セグメントで2番目に大きなカテゴリーである植物性代替肉にとって、2022年は苦難の年に。売上高が前年比約1,000万ドル(約13億4,000万円)減、販売点数は同8.2%減となりました。それでも、植物性代替肉は依然として、パッケージ肉製品カテゴリー全体の約2.5%を占めています。世帯普及率は17.5%でしたが、リピート購入率は62.5%に。利便性を求める消費者ニーズを反映し、売り上げの63%を冷凍の植物性肉が占める結果となりました。また、植物性代替肉の中でも新しいカテゴリーである鶏肉、魚、貝類は、いずれも前年比15〜16%程度の売り上げ増を記録しています。

植物性代替卵は継続した成長を記録。売上高は前年比14.3%増加し、4,500万ドル(約60億3,000万円)に達しました。通常の卵の価格が高騰し前年比1%減少した一方で、植物性卵の販売個数は同21%増加。植物性卵の世帯普及率はわずか1.5%であったため、既存プレーヤーにとっても新規参入プレーヤーにとっても同様に、成長の機会が多くある市場となっています。

その他の食品・飲料」カテゴリーでは、2019〜22年にかけて、販売点数で1%の伸びを示したといいます。そして同じ期間に、同カテゴリーの植物性製品の販売点数は23%の増加となりました。

PBFAは、過去4年間の植物性食品セグメントを総じて見ると、植物性製品全般は、通常の動物性製品に比べて成長していると結論付けています。

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