栄養価の豊富なマイコプロテインは持続可能なスーパーフード —VTTレポート

VTTフィンランド技術研究センター(VTT Technical Research Centre of Finland)のチームが、種々の微生物タンパク質に関する新たな研究成果を発表しました。

その中でもマイコプロテインは、消化性に優れたタンパク質と食物繊維を摂取できる、貴重な食品原料になると報告されています。

微生物バイオマスの、タンパク質量以外の点に着目


VTTの研究では、各種微生物バイオマスのサンプルについて、in vitro試験で大腸でのタンパク質消化率食物繊維の発酵性を調べることで、栄養品質を評価。これまでの研究では、タンパク質含有量ばかりが注目されており、食物繊維やグルコースといったほかの栄養素は見落とされていました。

微生物由来の原料がタンパク質と食物繊維の優れた供給源になり得るということを示すため、研究チームは微生物バイオマスのサンプルを生成する、4種類の菌株を選定。

Air ProteinSolar Foodsがガス発酵に用いている水素細菌Nocardioides nitrophenolicus(KGS-27)、Paecilomyces variotiiEniferの「PEKILO」)とRhizopus oligosporusという2種類の糸状菌、そしてRhodotorula babjevaeという酵母菌が選ばれ、マイコプロテインとしてすでに市販されているQuorn製品も参考に使用されました。

調査の結果、まずは微生物バイオマスのサンプルすべてが十分なアミノ酸プロファイルを有し、WHOの推奨する必須アミノ酸の必要量を満たしていることが明らかに。

最もタンパク質含有量が高かったのは糸状菌バイオマス(マイコプロテイン)でしたが、Rhizopus oligosporusでは20.2%、Quornは39%、PEKILOは46.1%と大きくばらつきが見られました。

タンパク質消化率に関しては酵母バイオマスが最も高く(85%)、細菌バイオマスが最も低かった(12%)とのこと。マイコプロテインの中では、PEKILOが56〜77%の消化率で際立っており、45%のQuornを上回る結果となりました。

この優れた消化率は、バイオマスごとの細胞壁組成の違いと、植物性タンパク質では一般的に見られる反栄養化合物が含まれていないことに起因するとされています。

しかしながら、食品製造において安全性と加工性を向上させるため行われる熱処理が、微生物バイオマスのタンパク質消化率に影響を与えることも、今回の研究で明らかになりました。研究チームは、処理のし過ぎによりタンパク質が細胞壁の構造と結合してしまい、消化率が低下することを強調しています。

消化に悪影響を与えない食物繊維


食物繊維に関しては、細菌バイオマス(25.7%)に比べて、マイコプロテインで31~43%と高い含有量が見られました。

マイコプロテインに含まれる食物繊維のほとんどは不溶性(分解されにくいが腸機能にとって有益)。一方、細菌バイオマスに含まれる食物繊維では、23.5%が可溶性または分解されやすく、不溶性は2.2%にとどまっています。

それ以上に重要なこととして、研究チームは、サンプル中の食物繊維とタンパク質消化率との間に直接の相関がなかったと指摘。

植物性タンパク質では、食物繊維が存在すると、消化酵素がタンパク質に接近するのを阻害する作用が働き、タンパク質消化率が低下することが報告されています。しかし、微生物バイオマス中の食物繊維は、タンパク質の消化率に影響しないという結果が得られました。

代わりに、微生物バイオマスの細胞壁組成や多孔度などの構造がタンパク質の消化率に影響を及ぼしている可能性があり、あるサンプルは消化酵素がより利用しやすい特性を持っていたといいます。

有益な腸内細菌の増加にも寄与


本研究ではほかにも、マイコプロテインのサンプルが小麦ふすまに似た発酵性を持ち、短鎖脂肪酸の生成を促進したことから、マイコプロテインに含まれる食物繊維が健康に役立つ可能性が示唆されています。

また、マイコプロテインを摂取することで、健康な成人体内において、ラクトバチルス属、ロゼブリア属、アッケルマンシア属などの有益な腸内細菌の増加が見られたとのこと。がんなどのリスク要因に結び付けられる赤身肉の多い食事とは対照的な健康効果が期待される結果となりました。

結論として、マイコプロテインは、消化性に優れたタンパク質と食物繊維を同時に摂取できる貴重な食品原料になると研究チームは主張。

食物繊維の摂取は、心血管系疾患、がん、脳卒中、2型糖尿病、高コレステロール、高血圧のリスクを大幅に減少させることが多くの研究で示唆されていることからも、新たな栄養源としてマイコプロテイン活用の有用性が強調されます。

タンパク質消化率や食物繊維の発酵性に違いが生じる理由、とりわけ細胞壁の構造や後処理が及ぼす影響について理解するためには、さらなる研究が必要だとされています。

参考記事:VTT Study Finds Mycoprotein a Sustainable Superfood & Next-Level Nutrient Powerhouse

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。