米BioCraft Pet Nutrition、培養ペットフードの商用化に向け再出発

ペットフード市場に向けて培養肉を開発する初のバイオテクノロジー企業、Because Animalsが、BioCraft Pet Nutritionへ社名を変更。培養肉に関心を寄せるペットフードメーカーとの協業に移行することを発表しました。

植物由来製品を売却し、培養肉に注力


2016年設立の同社は、「Because Animals」ブランドを冠した植物由来製品を手掛けるとともに、ウシ胎児血清(FBS)に代わる成長培地を独自開発。2021年に、ペット業界初の培養肉製品となる、マウスの細胞から作られたキャットフードを発売しました。

昨年後半に植物由来製品の販売を取りやめ、同社の共同創業者が立ち上げたCULT Food Scienceに製品処方やブランド資産を売却するも、培養肉に関する知的財産は保持しています。

社名変更に伴い、今後は研究開発、インフラ、パートナーシップなどのリソースをすべて、培養肉の商用化に充てることとなります。

栄養面でも優れたペットフード


培養肉を製品ラインアップに加えたい大手ペットフードメーカーとの協業をすでに進めている、BioCraft Pet Nutrition。同社の培養肉は、サルモネラ菌や大腸菌といった糞便由来の細菌が付着する可能性が著しく低く、ペットフードメーカーにとっても、多大なコストを要するリコールを防ぐことが可能になります。

化学物質、抗生物質、ペントバルビタール(麻酔薬)、ステロイドやその他のホルモンを含まず、遺伝子組み換え作物も不使用。

一方で、必要なタンパク質や主要なビタミンをしっかり含んでおり、加熱工程で溶け出して失われてしまうタウリンも合成して戻し入れるなど、栄養面でも優れたペットフードとなっています。

培養肉スタートアップが注目すべきペットフード業界


米国で行われた調査では、ペットとして飼育される犬猫が摂取するカロリーは、米国人が摂取する総カロリーのおよそ19%にのぼり、フランス人が摂取する総カロリーにも匹敵することが分かりました。

ドッグフードやキャットフードは、人間の平均的な食事と比べて肉類を多く含むため、動物由来の総カロリーのおよそ25%を犬猫が摂取していることに。仮にこれを一国として数えると、世界の国別の肉消費量でロシア、ブラジル、米国、中国に次ぐ、第5位に入る計算です。

これを代替することで社会に多大なインパクトをもたらすことができる上、通常の食品と比べると規制面でのハードルも低いと考えられ、今後ペット業界に進出するスタートアップ企業の数も増加が予想されます。

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