植物細胞を培養する原料メーカーの米Ayana Bioが新たな研究拠点を開設

植物細胞を培養するAyana Bioが先月、米・ボストンに新たな研究拠点の開設を発表しました。植物細胞を培養して生み出した複数の原料の、商用化へ向けた一歩となります。

複数種の細胞株を同時に培養可能に


Ayana Bioは、バイオテクノロジー企業として米NASDACにも上場するGinkgo Bioworksのスピンオフして設立された企業。今回の新拠点もGinkgo Bioworksと同じ建物内にあり、同社の有する生物学の技術やリソースとの相乗効果を高めています。

Ayana Bioの共同創業者でCTO(最高技術責任者)を務めるEffendi Leonardは、「Ginkgo Bioworksとのパートナーシップにより、出発点となる最適な細胞株の特定がスムーズに行え、優れた原料を低コストで生産できる」と語っています。

同社は、現在の植物パウダー原料の市場は、2023年には売上ベースで208億ドル(約2兆9,300億円)の規模になると予測。新拠点では、独自の装置を用いて、複数種の細胞株を同時に培養できる生産体制を構築しているといいます。

わずか数週間で植物細胞を培養


Ayana Bioは植物細胞の培養により、植物を栽培することなく植物由来原料を作り出します。手始めに、伝統的な育種と同じく、適切な細胞株を特定。本物の植物から細胞を採取し、培養過程を通じて生物活性、安定性、純度などの評価を行います。

細胞株の選択が終わると、次にステンレス製のバイオリアクター内で栄養分を与えて、細胞の成長・増殖を促します。細胞が十分に増殖するまでの期間は、わずか数週間。増殖した細胞を収穫し、原料として製品化します。

同社は今年、レモンバームとエキナセア(いずれもハーブの一種)を細胞から培養し、睡眠改善や免疫機能向上を狙ったサプリメント向けの原料として発売しました。

また、300万ドル(約4億2,300万円)を投じて、カカオの品種改良に向けた遺伝子研究の支援を行いながら、カカオの生物活性物質の持続可能な生産を推進しています。

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