英Quest Meat、Multus、UCLが培養肉生産のスケールアッププロジェクトで提携

英国のQuest MeatMultusが、培養肉生産に用いる細胞培養原料プラットフォームの共同開発に向けて協働することを発表しました。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(以下、UCL)生物化学工学科に籍を置く世界トップレベルの研究者の支援を受け、培養肉の生産コストを現在の数分の一に削減する技術「CULT-GRO」の実装を目指します。

培養肉生産における課題を解決


世界銀行のデータによると、現在の世界のフードシステムは8兆ドルの価値を持つ一方で、それを上回る12兆ドルの負の外部効果ももたらしており、非常に非効率。

The Good Food Instituteは、培養肉の効果的なスケールアップができれば、土地の利用効率が鶏肉生産では60~300%、牛肉生産では2,000~4,000%向上するとしており、環境影響、生物多様性の損失、人獣共通感染症の流行リスク低減といった問題に対処できると期待されています。

しかしながら、培養肉生産のスケールアップには、ウシ胎児血清(FBS)の代替や、培養細胞の付着と成長を促す適切な足場の確保といった、大きなボトルネックが残っているのが現状。

本プロジェクトは、細胞を増殖させるための栄養素と、最終製品の一部に含まれる食用の足場を組み合わせることで、これらの課題に対処するものです。

世界レベルの大学研究を活用


Quest MeatとMultusはいずれも、培養肉生産に用いる培地や足場、細胞株などのソリューション開発に注力する企業。両社の技術を用いて適切な処方をスクリーニングした後、UCL生物化学工学科の最先端設備を利用して試験生産し、処方の検証を行います。

UCLは世界トップ10に入る大学であり、『The Sunday Times』紙の「University of the Year 2024」にも選出。先端生物化学工学センター(ACBE)は、バイオプロセスに関わる世界最大の学術グループを擁し、最先端の施設を提供しています。

また、100万ポンド(約1億8,500万円)規模の本プロジェクトには、英国政府の公的助成機関Innovate UKも共同出資。細胞培養原料の利用可能性を高め、既存の食肉産業に代わる大規模での培養肉生産を促進する狙いです。

Multusの共同創業者でありCEOのCai Lintonは、「培養肉の規模拡大や主要コストの削減を巡るボトルネックを克服するためには、コラボレーションが不可欠。このプロジェクトは、培養肉製品の市場化プロセスを加速させ、持続可能なフードシステムへの移行を推進するものだ」とコメントしています。

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