仏Standing Ovationが公的セクターから約4.8億円を調達、アニマルフリーカゼインの生産拡大へ

フランスのStanding Ovationが、精密発酵カゼインの大規模生産プロジェクト「CASPEX」の実施に向けて、フランス政府とBpifranceから300万ユーロ(約4億8,400万円)の調達を行ったと発表しました。

公的機関のコミットメントを示す資金提供


調達資金のうち200万ユーロはフランス政府による直接支援であり、健康的で持続可能な食分野のイノベーションに対して資金を提供する国家計画「France 2030」の一環として、20カ月間の期間を定めて行われるもの。

残りの100万ユーロは、同国の公的投資銀行Bpifranceからの融資(Invest EU Green Loan)によるもので、Standing Ovationはこの調達により精密発酵プラットフォームの規模拡大を目指します。

同社の共同創業者でCEOのRomain Chayotは、「これらの支援は、未来の食料や食料安全保障を確保するという公的機関のコミットメントを示すものだ」と語っています。

タンパク質精製工程の確立に注力


2020年に設立されたStanding Ovationは、パリを拠点に、アニマルフリーカゼインを生産する特許製法を開発。動物性のカゼインと同じ栄養価を含みながら、環境影響が小さいことが魅力です。

大規模生産を目指す「CASPEX」プロジェクトは、発酵プロセスの完了後に微生物を取り除き目当てのカゼインのみを抽出する、精製工程の確立に焦点を当てたもの。

同社によると、精製は工業化プロセスにおいて極めて重要であり、プラットフォームの効率を向上させられ、ひいては迅速な生産と関連コストの削減につながるといいます。

現時点で1週間のカゼイン生産量は数十キロですが、今回の調達により、これを数トン規模にまで引き上げられる見込みです。

乳製品大手のBel Groupとも提携


Standing Ovationは、初期の精密発酵プラットフォーム開発のため、2022年にシリーズAラウンドで1,200万ユーロ(約19億4,000万円)の資金調達に成功。

笑う牛のパッケージで有名な大手チーズメーカーのBel Groupも同社の株式を取得し、精密発酵カゼインを用いた代替チーズを製造するため提携に至りました。

Bel Groupは、複数ブランドからヴィーガン向け製品を発売しているほか、植物性チーズの専用ブランド「Nurishh」も展開しています。

Standing Ovationはまた、精密発酵企業が集まって結成された、米国のPrecision Fermentation Allianceおよび欧州のFood Fermentation Europeにも加盟。法規制の枠組み構築など、業界の成長加速に向けた取り組みを、他企業と共同で進めています。

参考記事:
Standing Ovation Receives €3M from French Government and Bpifrance to Scale Non-Animal Caseins for Novel Dairy Products
Bel Group-Backed Standing Ovation Bags €3M from French Government & EU Fund for Animal-Free Casein

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