英Meatlyがリットル単価200円弱の培地開発を発表、培養肉生産の大幅な低コスト化に向け前進

培養ペットフードの開発を進める英国のMeatlyが、培養肉生産に用いるタンパク質を含まない新たな培地を発表しました。英国での認可取得を目前に控え、100倍以上の培地コスト削減に成功しています。

培地コストを100分の1に削減


動物細胞の成長を促進するための栄養素を豊富に含んだ培地(培養液)のコストが高いことは、培養肉が従来の食肉製品と同等の価格を実現する上での大きな障害となっています。

この課題に対処するため、Meatlyは1リットルあたりわずか1ポンド(約194円)という培地を開発し、100倍以上のコスト削減に成功しました。大量購入した場合、販売価格はさらに下げられるとみられています。

この培地は食べても安全な原料のみで作られ、血清などの動物由来成分、成長因子マイクロキャリア(足場)、ステロイド、ホルモン、抗生物質を一切含んでいないとのこと。

Meatlyの共同創業者で最高戦略責任者(CSO)を務めるHelder Cruzは、「培養肉業界が長年取り組んできた生産コストを大幅に引き下げることができ、業界にとって重要なマイルストーンとなるだろう」とコメント。

Meatlyに投資しているAgronomicsの創業者Jim Mellonも、この開発によって同社が培養肉分野における「真の技術的リーダー」としての地位を確立したと指摘しています。

認可取得を経て年内の製品化へ


Meatlyは1個の鶏卵から細胞サンプルを抽出し、この培地で満たしたバイオリアクターの中で、足場を使わずに鶏肉を懸濁培養。

犬や猫用の培養肉製品を探究し、最初の商業パートナーである植物性ペットフードメーカーのOmniと共同で、今年3月に培養鶏肉を用いたキャットフード缶「Omni Feast」の開発・製造に成功しました。

近く英国環境・食糧・農村地域省(Defra)からの認可取得を見込んでおり、年内にも欧州で培養肉製品を販売する初の企業となることを目指しています。

Omni Feastは、Omniのペットフードに含まれる豆類や野菜と、Meatlyの培養鶏肉を組み合わせたハイブリッド製品となっており、150g缶(1食分)の価格は約1ポンド(約193円)を想定。

環境意識の高い飼い主の増加に対応し、手頃な価格の製品を大規模に提供するための準備を進めています。

参考記事:
Meatly’s Protein-Free Culture Medium Dramatically Cuts the Production Cost of Cultivated Meat
Meatly protein-free medium enables affordable, scalable cell-cultivated meat – Tech.eu
Meatly Unveils “Groundbreaking” Protein-Free Culture Medium at £1 Per Liter

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