メキシコ発のバイオマテリアル企業Polybion、バクテリアセルロース「Celium」を全世界に向け発売

スペインとメキシコに拠点を置くバイオマテリアルのメーカーPolybionが、バクテリアセルロース製品「Celium」を全世界に向けて発売する準備が整ったと発表しました。

ユニークな特性を持ったこの新素材は、単なるレザーやプラスチック素材の代替品にとどまらず、「全く新しいカテゴリーを創造するもの」と主張しています。

農業廃棄物を細菌に与えてセルロースを生成

「Celium」は、細菌に農業廃棄物となった果物を与えて発酵させた結果、細胞が自己組織化し、代謝の副産物としてセルロース構造を作り出したもの。

このセルロース構造を安定化させて得られるレザーのような素材は、動物皮革用に設計された既存のインフラを利用して染色、エンボス加工、なめしが行えます。

また、動物皮革のなめし処理で毛や脂肪などの除去に使われるクロムには腐食性があり、環境にも人にも大きな危害を及ぼしていますが、Celiumの生産工程ではクロムを使用しません。

ファッション、スポーツウェア、自動車産業などの用途に合わせて特性を調節でき、素材の厚みなどをカスタマイズすることも可能です。

Celiumは既存の大規模な発酵設備で生産できるため、世界中で容易に生産が可能な点が強み。

デンマークのファッションブランドGANNI（ガニー）はすでにこの素材の可能性を見出している企業の一つで、先日開催されたコペンハーゲン・ファッション・ウィークでCeliumを使った「GANNI Bou Bag」（左写真）を発表しました。

Polybionは2022年に、Blue Horizon Venturesが主導したシリーズAラウンドで440万ドル（約6億8,500万円）を調達し、メキシコ中部に生産施設を建設。

太陽光発電を活用してカーボンニュートラルを実現した同施設をフル稼働させた場合、年間110万平方フィート（約102,000平方メートル）のCeliumを生産できます。

昨年10月には、循環型ファッションの世界的プラットフォームであるFashion for Goodを公式パートナーとし、出資を受けたことを発表。

プレスリリースでは、「生物学に関連するハードルを大規模に解決したことで、ついに画期的な素材を開発できた。より多くのブランドの製品に、カーボンフットフリントの低いバクテリアセルロース素材を採用してもらいたい」と述べられています。

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