菓子大手のLoackerがEndless Food Coと提携し、カカオ豆を使わないチョコレートの開発を支援

デンマークのフードテック企業Endless Food Coが、イタリアの菓子大手Loacker Group(ロアカーグループ)のコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)から出資を受けたことを機に、同社と提携し、カカオ豆不使用チョコレートの開発を推進すると発表しました。

老舗メーカーが代替ソリューションに投資


イタリアの老舗菓子メーカーとして知られるLoackerは、年間総額100万ユーロ(約1億8,000万円)を拠出するCVCプログラムの最初の投資先2社のうちの1社に、Endless Food Coを選定。もう1社には、神経科学や感覚データを活用して消費者の反応を理解する予測プラットフォームを開発するDr Tasteが選ばれました。

Endless Food Coは、食品業界の廃棄物をアップサイクルし、持続可能かつ気候変動に強い代替チョコレート「THIC(This Isn’t Chocolate)」を製造しています。

このパートナーシップの下、同社は原材料サプライチェーン、北欧で確保している顧客、菓子製造の経験を、Loackerの資金力、1世紀にわたるカテゴリーの専門知識、そして製品イノベーションや技術開発のノウハウと融合。市場投入戦略に取り組み、成長を加速させていく方針です。

CEOのMaximillian Bogenmannは、今回の提携を「当社に活力を与え、その価値を裏付ける瞬間」と評し、「創業当初から掲げてきた通り、私たちはチョコレート業界の中で、業界と共に成長していきたいと考えており、Loackerとならそれが実現できると確信している」とコメントしています。

40%をアップサイクル原料が占める代替チョコレート


Endless Food Coは、シェフ主導のブランドとして2022年にBogenmann、Christian BachMatthew Orlandoの3人によって設立されました。特にOrlandoは数々のミシュラン星付きレストランで腕を振るい、世界屈指のシェフとして知られる人物。直近ではコペンハーゲンで環境配慮型レストラン「Amass」を経営しており、そこで3人は共に働いていました。

3人は「Amass」で培ってきたサステナビリティの精神を継承・発展させ、チョコレート業界が抱える気候変動問題の解決と、世界の温室効果ガス排出量の最大10分の1を占めるとされる食品廃棄物の削減に向けた取り組みを開始。

製品の原料には、ビール醸造時に麦芽から生じる固形残渣「ビール粕(BSG)」、通常は廃棄されるか肥料として利用される「カカオハスク(カカオ豆の外皮)」、そしてオーツミルクの製造過程で残るパルプ(搾りかす)などを活用しています。

代替チョコレート製品「THIC」は、最大40%を占めるこれらの原料に、シアバターやオーガニックのテンサイ糖を組み合わせて作られます。

製造プロセスは、従来のチョコレート製造を模倣したもので、上記の混合物を粉末状に加工して既存のチョコレート製造ラインに組み込めるようにしています。その後、石臼での微細化やコンチング(練り上げ)工程を経てチョコレート状の塊が作られ、テンパリング(調温)および成形ラインへと送られます。

ブロック、顆粒、粉末などさまざまな形状に加工できるため、メーカーはレシピや加熱時間を変更することなく、幅広い用途に利用できます。

持続可能な食料システムに貢献する革新的なアプローチ


チョコレート業界が気候変動の直撃を受ける中、2024年にはカカオの在庫が過去10年間で最低水準に落ち込み、価格は史上最高値を記録しました。世界最大の生産国であるコートジボワールとガーナの農園は、異常気象や作物の病害による深刻な打撃を受けており、2050年までには世界のカカオの木の3分の1が枯死する恐れがあるとの警告もなされています。

「THIC」がもたらす環境面のメリットは大きく、従来のダークチョコレートと比較すると、排出量を85%削減することが可能。さらに廃棄物の有効活用によって、持続可能性への貢献を高めています。

ビール粕は、ビール業界から排出される廃棄物の85%を占めています。世界生産量は毎年4,000万トン近くに上り、その80%は動物の飼料やバイオ燃料として再利用に回るものの、残りは埋め立て処分されているのが現状です。

また、カカオも廃棄物を大量に生み出す作物の一つ。チョコレートの製造過程では果実の約70〜80%が廃棄されてしまいますが、その廃棄部分には高い栄養価や機能的価値が含まれています。

こうした価値提案が評価され、「THIC」は多くの製品に採用されてきました。欧州各地の大小さまざまなベーカリーに製品を卸すだけでなく、2024年12月にはデンマークのセブン-イレブン提携して、国内全180店舗でクッキーを発売。

ドイツのシリアルメーカーBarnhouseとはヴィーガン対応グラノーラへの採用で、デンマークの食品卸売業者Banana Cphとはチョコレートシートケーキの標準原料としての供給で提携しました。

現在は、アップサイクルされた代替チョコレートを月産20トン規模で製造可能な、3,800平方フィート(約350平方メートル)の製造施設の設置を進めています。

参考記事:
Christian Bach | LinkedIn
Loacker Teams Up with Endless Food Co to Support Bean-Free Chocolate Development
Loacker commits $1.1M annually to Endless Food Co’s bean-free chocolate alternative | Dealroom.co

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