2027年に培養レザーの発売を見据えるQoriumが、社名を「Reyva」に変更するリブランディングを実施

オランダの代替素材スタートアップQoriumが、ラボで培養したレザーの生産を工業化し、ファッションブランドや自動車ブランド向けの製品開発を進めるにあたり、社名を「Reyva」に変更しました。
2027年前半の商用化実現を見込む
マーストリヒトに拠点を置くQoriumは、培養レザーの市場投入に向けて1年前に2,200万ユーロ(約39億1,000万円)を調達。このたび、事業の拡大と商業化を加速させるべく、ブランドアイデンティティを刷新しました。
「Reyva」という社名は、新興の技術企業から、高級レザー分野におけるグローバルな素材ブランドへと進化したことを象徴する名称だといいます。
同社は、同じく細胞由来のコラーゲンを手掛けるJellatechやUmami Bioworksのように美容業界や医療業界をターゲットにするのではなく、当面は皮革用のコラーゲンシートの培養に注力。
まずはラグジュアリー製品や自動車の内装材向けに展開する予定で、具体的な企業名は明かされていませんが、すでに大手の高級ファッションブランドや自動車メーカーと開発において提携しています。
培養レザーの商用化にあたって、特別な規制当局の承認は必要なく、従来の皮革素材に適用される一般的な規則や基準を遵守することで対応可能。CEOのMichael Newtonによれば、2027年前半には最初の製品を発表できる見込みです。
規模拡大によりコスト削減へ
Reyvaは、6代続くタンナー(皮なめし職人)のRutger Ploem、環境分野の起業家Stef Kranendijk、そしてMosa Meatの共同創業者であり、世界初の培養肉ハンバーガーを発表したことで知られるMark Postによって設立されました。
製造プロセスは、理想的な皮革を持つ生きた牛から、痛みを伴わない方法で小さな生検サンプルを採取するところから始まります。選別した細胞を保存・増殖させた後、独自の組織バイオリアクターで培養し、均一なコラーゲンシートに成形します。
このシートはその後、主要なタンナーへと送られ、伝統的な技術を用いて仕上げ加工が施されます。完成した素材には、切断、縫製、エンボス加工などを行え、さまざまな用途の要件に合わせて調整できます。
ここまでの全工程に要する期間は約5週間で、プロセスを改善して将来的には3〜4週間への短縮を目指しているとのこと。
細胞以外の動物由来成分は一切使われておらず、この培養素材は既存の皮革製造プロセスにシームレスに統合できるため、レザー産業全体で活用することが可能です。
同社の生産はまだ商業規模に達していないためコストが高くなっているものの、「今後生産能力を拡大し、プロセスの効率を向上させれば、高級な従来型レザーと価格面で競合できるようになるはずだ」とNewtonは主張。
また、1平方メートルあたりの単価だけでなく、シートが均一で厚みが制御されているという点は、端材ロスを防いで歩留まりを向上させ、製造過程で出る廃棄物を削減できる可能性を秘めています。
カーボンフットプリントを87%低減
動物の皮を原料にするレザーの生産過程では、多大なエネルギーと水が消費されます。また、森林破壊や生物多様性の喪失とも深く関わっており、なめし工程では人体に有害な化学物質が多数発生するという問題も見過ごせません。
ファッション業界からは年間830万トンのメタンガス(フランス一国の排出量の約4倍に相当)が排出されますが、そのうち54%を皮革が占め、牛由来の皮革の場合、1平方メートルあたりの排出量はCO₂換算で110kgとなります。
さらに国連食糧農業機関(FAO)のデータを用いた近年の研究によると、皮革生産が気候に与える実際の負荷は、これまでの推定値よりも70%高いことが明らかになりました。
一方、プラスチックを原料とする合成皮革は、1平方メートルあたりのCO₂換算排出量は15.8kgですが、石油化学製品から作られる上、分解されるまでに20年から500年もの歳月を要するのが難点。加えて、有毒なマイクロプラスチックを放出する恐れもあり、それが水系に流れ込むことで水生生物を死滅させ、私たちの食料システムに深刻な悪影響を及ぼします。
ここで強みを発揮するのが、Reyvaのような新規のバイオ素材です。調査機関CE Delftの独立したライフサイクルアセスメント(LCA)によると、再生可能エネルギーを用いて本格的な量産体制を整えた場合、同社の培養レザーはカーボンフットプリントを87%低減できると試算されています。
この分析では、仕上げ工程を行うタンナーへの出荷段階におけるCO₂換算排出量は、1平方メートルあたり10.5kgと算出されました。これは牛由来の皮革より大幅に低いばかりか、合成皮革と比べても3分の2ほどの数値です。
参考記事:
Qorium Becomes Reyva as Cultivated Leather Company Moves Towards Commercial Scale
Qorium Rebrands to Reyva As It Eyes 2027 Launch of Lab-Grown Leather


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