Ever After FoodsとRoslin Technologies、植物性足場を用いたブタ細胞の培養で大幅な収量増を達成

イスラエルの培養肉企業Ever After Foodsと、細胞株開発を手掛けるスコットランドのRoslin Technologiesが、植物由来の可食性足場上でブタの細胞を培養し、タンパク質の生産量を19倍に増加させることに成功したと報告しました。

細胞1個あたりのタンパク質収量が4倍に


培養肉を開発する企業の多くは、医薬品業界から転用された手法を用いて、液体で満たした攪拌式バイオリアクター内で細胞を懸濁培養しています。

Ever After Foodsの生産システムは、これとは異なるアプローチを採用しており、細胞を「PlantriX」と呼ばれる植物由来の足場に付着させて培養するもの。足場は最終製品中にもそのまま残りますが、その重量は製品全体の2%に満たない量です。

今回行った共同試験では、Roslin Technologiesのブタ幹細胞を、無血清培地中で多細胞凝集塊として懸濁培養・増殖させました。続いて、この凝集塊を物理的に解離させてEver After Foodsの「EPB」バイオリアクターに投入。細胞をリアクター内の足場に付着させたところ、9日間の培養で、1mLあたり1億5,000万個という細胞密度に達しました。

このシステムでは、通常の懸濁培養に比べて同じ容積で5倍の細胞を培養でき、タンパク質の生成量も19倍に増加。1リットルあたり湿重量で326g、乾燥重量で57gのバイオマス、そして40gの培養タンパク質という優れた生産性を実現できました。

タンパク質の増加量が細胞の増加量を上回った理由については、足場上で培養された細胞のそれぞれが、従来比4倍近いタンパク質を生成したためだと説明されています。

Ever After FoodsのCEOを務めるEyal Rosenthalは、「業界は細胞を培養する技術を大きく高度化させてきたが、細胞そのものが最終製品になるわけではない。商業化の上で重要なのは、それらの細胞がいかに効率よく、食用となるタンパク質や組織を生成できるかという点だ」と指摘。

「細胞が1個あたりでより多くのタンパク質とバイオマスを生成した事実は、培養肉の生産性について、より広い視点から考えるべきだということを示唆している。つまり、単に細胞の数だけを見るのではなく、最終的にどれだけの食用タンパク質や組織が生成されるかに注目すべきだ」と述べました。

統合した技術のさらなる開発と拡大を進める


両社は、生産プロセスの異なる段階を担っています。エディンバラ大学からスピンアウトしたRoslin Technologiesの主力事業は、培養肉企業やその他の食品企業に対する細胞株の供給。過去にはNovo Holdingsが主導するラウンドで1,100万ポンド(約23億2,000万円)の資金を調達した実績があります。

一方のEver After Foodsは、製造技術に注力。今年8月に魚類細胞を専門とするベルギー企業Fishwayを買収したほか、昨年からスイスの機器メーカーBühler Groupと共同で、商業規模の生産システムの構築に取り組んできました。

両社は今後、統合された生産システムについて、さらなる開発とスケールアップを進める計画です。

Roslin TechnologiesのCEO、Ernst van Orsouwは「培養肉の商業生産には、強固な細胞生物学の知見と、その生物学的な特性を生かして効率良く組織を形成できる製造技術の両方が不可欠だ」とコメント。

「今回の共同開発で、当社のブタ多能性幹細胞がさまざまなバイオリアクターシステムにおいて汎用性を持つこと、そしてEver After Foodsの組織生産環境において生産性を大幅に向上させられる可能性を実証する成果が得られた。この協働は、補完的な技術を統合することでスケールアップにおける重要な課題を解決できると示す、強力な事例となるだろう」と語っています。

参考記事:
Ever After Foods and Roslin Technologies Report 19-Fold Rise in Cultivated Pork Protein Output
Cultivated meat: Ever After Foods and Roslin target cost barriers with 19-fold protein productivity

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