韓国の研究チームが、コストを80%低減したホールカットのハイブリッド培養肉を開発

韓国・慶尚大学校で政府の助成を受けて行われたプロジェクトにおいて、植物性タンパク質を組み合わせることで生産コストを最大80%削減できるという、ホールカットの培養肉が開発されました。

牛肉の噛み応えと霜降りを再現


初期の培養肉の試作品は、主にバーガーパティやナゲットのようなひき肉状のものが中心でしたが、いずれも味や食感の面で消費者の期待に応えられない場合が少なくありませんでした。

慶尚大学校の研究チームは、この状況を打開するべく「ハイブリッド肉」のアプローチを採用。これは、培養した動物細胞と植物性タンパク質を組み合わせる手法で、現在市場に参入している培養肉スタートアップの大半が取り入れている戦略です。

本プロジェクトは、韓国農林畜産食品部(MAFRA)およびその傘下にある農林水産食品技術企画評価院(iPET)による、高付加価値フードテック開発プログラムの助成を受けて行われました。

チームは、培養した筋細胞に、エンドウ豆、大豆、小麦由来のタンパク質を配合しました。これを糸状の人工筋繊維に加工し、それらを束ねることで、従来の牛肉に近い噛み応えを持つ立体的な構造を作り出しています。

表面には植物油と牛脂をブレンドしたものをコーティングして、サーロインやテンダーロインのようなステーキ肉に見られる霜降り状の脂肪の分布を再現しました。

生産には、細胞培養に用いる足場を再利用したり、経済的な培養手法を採用したりすることでコストを70〜80%削減。高価な培地や使い捨ての足場に依存する、従来の方法から脱却しています。

研究チームはまた、工場と同じ規模の生産設備も開発しました。このシステムは、麺を作る工程と似た手法で微細な筋繊維を大量に押し出して束ねるもので、培養肉の大量生産に向けた基盤となります。

技術が無事に商業化されれば、キロ単価約4万ウォン(約4,650円)で販売可能になる見込み。1等級の韓牛(韓国原産の品種)サーロインステーキの約半分の価格です。

スタートアップを通じて事業化を進める


慶尚大学校のチームは、この取り組みを事業化するため、2024年に研究室からスピンオフする形でスタートアップ企業「Orange CAU」を設立しました。現在、完成したプロトタイプを基に本格的な製品開発を進めています。

韓国メディア『The Buyer』によると、iPETの広報担当者は「本研究は、単なる実験室での成果にとどまらず、実際に消費者の食卓に届き得る実用的な技術であるという点で、非常に大きな意義がある。我々は、技術の検証やライセンス供与、流通網の確保など、製品発売に至るまでの継続的な支援を惜しまない」と述べました。

市場化にあたっては、生産やマーケティングの側面とは別に、規制当局の承認取得も大きな課題として立ちはだかっています。韓国では、培養肉のような「新規食品」は食品医薬品安全処(MFDS)の管轄下にあり、現在Simple PlanetやCellMEATの申請に対して審査が進められていますが、まだ結論は出ていません。

政府は、慶尚北道に培養肉に関する「規制特区」を設けて、規制上のハードルを一部免除することで業界の事業化の取り組みを支援。この地域ではまた、政府資金による研究センターの整備も進行中で、来年の開設が予定されています。

参考記事:
Gyeongsang National University develops hybrid cultivated steak with claimed 80% cost reduction | PPTI News
Korean Researchers Create Whole-Cut Hybrid Cultivated Meat with 80% Lower Cost
Korean Team Develops Steak-Style Cultured Meat at Half the Price – Seoul Economic Daily
South Korea develops marbled hybrid cultivated meat, eyes commercialisation

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