米Lypidがディズニーと提携、『モアナと伝説の海2』の試写会で代替脂肪を用いたヴィーガン食を提供
米国・カリフォルニアのフードテック企業Lypidが、ディズニーとの提携を通じて消費者向けブランドをデビューさせました。
先月ハワイで開催された『モアナと伝説の海2』のプレミア試写会で、ヴィーガン対応にアレンジしたポークパオを提供しています。
外食に続き小売りへの展開がスタート
11月27日の公開(日本は12月6日公開)から早くも記録的な成功を収めている『モアナと伝説の海2』。公開に先立ってハワイで開催された試写会で、「Lypid Kitchen」ブランドの小売り向け新製品「BBQ Pork Piggy Bao」が、演者や映画製作者、その他の出席者に提供されました。
Lypid Kitchenは、植物由来の代替脂肪を開発するスタートアップ企業のLypidが、小売りの消費者向けブランドとして立ち上げたもの。
Lypidは、動物性脂肪やココナッツオイルの味と質感を保ちながら、環境や健康に及ぼす影響の少ないハードタイプの代替脂肪「PhytoFat」を開発しており、これを原料に用いて、映画に登場する子豚のキャラクター「プア」をモチーフにしたポークパオに仕上げています。
PhytoFatの製造において、同社は特許取得済みのマイクロカプセル化技術*を活用。脂肪の中に風味を閉じ込め、調理工程を経ても風味を逃しません。
この脂肪は飽和脂肪酸の含有が少なく、トランス脂肪酸や水素の添加もなし。融点が非常に高いため、植物由来の肉、乳製品、ベーキングなど、さまざまな用途に適しています。
Lypid Kitchenのウェブサイトでは、このポークパオを4個入り14.99ドル(約2,300円)で予約販売しており、来年2月には小売店でも発売が予定されています。
* 微小な粒子にコーティングを施して、特定の機能を持った微小なカプセル状に加工する技術。
高まる代替脂肪開発の重要性
シードラウンドで400万ドル(約6億900万円)を調達しているLypidは、これまでは外食産業向けに事業を展開。
昨年3月に世界初の植物性豚バラ肉と謳う「Lypid Pork Belly」を発売したほか、厚切りベーコンやミートボールなどを製品ラインアップに加え、世界500カ所以上で販売されるまでになりました。
創業者が台湾出身であることから台湾でも広く展開しており、アジア最大のコーヒーチェーンであるLouisa Coffeeや、家具大手のイケア、同国の航空会社エバー航空(EVA Air)とも提携しています。
代替肉や乳製品を購入する消費者が、本物に近い味と食感であることに加えてより健康に良い製品を求めるようになっている中、代替プロテイン開発における脂肪の重要性が増加。
Lypidと同じく植物由来の成分を用いる企業には、ヒマワリの種子を活用するTime-travelling Milkman(オランダ)、AIを用いたタンパク質探索プラットフォームを構築しているShiru(米国)、代替肉用にオリーブ油ベースのエマルジョンを開発したTHIS(英国)などがあります。
参考記事:
Lypid Partners with Disney to Debut Adorable Plant-Based BBQ Pork Piggy Bao at Moana 2 World Premiere
Vegan Fat Startup & Disney Team Up to Serve ‘Piggy Baos’ at Moana 2 World Premiere
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