スウェーデン企業のMillowが約3.8億円のEU助成金を獲得、菌糸体とオーツ麦を用いた代替肉の展開拡大へ

スウェーデンのスタートアップ企業Millowが、ヨーテボリにあるパイロットプラントでの生産規模拡大に向け、欧州イノベーション協議会(EIC)アクセラレータープログラムで240万ユーロ(約3億7,900万円)の助成金を獲得しました。

同時に、個人投資家からの追加投資を確保することを条件に、欧州投資銀行(EIB)が最大1,500万ユーロ(約23億7,000万円)の株式出資を行うことを約束しています。

大手食品メーカーとの協力を進める


2020年創業のMillowは、人工原料、遺伝子組み換え作物、結着剤、添加物を使用せず、高タンパクで消化しやすく、健康的な代替肉を提唱し、昨年2月にステルスモードから脱却。

現在、50%が菌糸体、50%がスウェーデン産のオーツ麦で作られた代替肉を、スウェーデン国内で販売しています。

共同創業者のEsmaeil Taherzadehによると、大手食品メーカーと複数のSKUを共同開発を進めており、まずは北欧市場で発売する予定とのこと。さらに、北欧での工場開設と、欧州以外の地域での合弁事業による展開も検討しています。

多くの企業が財政難に直面する厳しい市場において、共同開発製品が完成した時点で受注を確保し、収益性を確保しながら会社を成長させることができるよう、パートナー企業と緊密な協力を行う戦略です。

また、同社が用いている真菌株は新規食品とはみなされないため、規制面でアドバンテージを有しています。

発酵技術の効率性を大幅に向上


Millowは、Esmaeilの父であり、菌糸体の専門家であるボロース大学教授のMohammad Taherzadehが開発した、「固体発酵と液体発酵の中間」という独自の発酵技術を活用。

バイオマス発酵業界で一般的な固体発酵に比べて、速度と効率性を大幅に向上。また、液体発酵3分の1のエネルギー、2.3%の水しか使わず、95%のCO₂排出削減につながるといいます。

さらに、高価なステンレス製の発酵タンクを必要としないため、必要な設備投資も液体発酵の3分の1で済むとのこと。

オーツ麦の基質に菌糸体を加えて12~16時間ほど発酵させ、菌糸体とオーツ麦を50%ずつ含んだハイブリッド製品に仕上げます。

市場では多くのヴィーガン製品が手に入るようになりましたが、Millowは、これらの製品には「人体で利用可能なミネラルやビタミンが十分に含まれていない」と指摘。 

提携している大手食品メーカーもこれを大きな問題と見ていたことから、同社はオーツ麦に含まれる抗栄養素のフィチン酸含有量を大幅に減らし、ゼロに近づけました。その結果、鉄分や亜鉛などの吸収率が大幅に改善されたといいます。

食感も細かくコントロールすることで、さまざまな調理用途に適した製品を実現でき、結着剤を使用していないにもかかわらず、シチューなど煮込み料理に入れても崩れない点が魅力です。

参考記事:
Minimally processed alt meat startup Millow nets $2.6m EIC grant, plans new facility
Millow Awarded €2.4M EU Grant to Scale Whole Food Mycelium-Oat Meat Alternatives
Mycelium + oats = Millow: Swedish startup emerges from stealth with minimally-processed meat alternative

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