精密発酵カゼインを開発するフランスのStanding Ovationが約5.9億円を調達、2025年の米国進出を目指す

アニマルフリー乳製品用の精密発酵カゼインを開発するフランスのStanding Ovationが、シリーズAエクステンションラウンドで375万ユーロ(約5億9,000万円)の資金調達を行ったと発表しました。

来年にも、米国で「Advanced Casein」の流通・販売を開始する計画です。

新CEO就任で、製品化に向け加速


Standing Ovationは、2022年にAstanor Venturesが主導したシリーズAラウンドで1,200万ユーロを獲得。今年初めにはフランス政府とBpifranceからも300万ユーロを得ており、創業から4年で累計2,300万ユーロ(約36億2,000万円)を確保しています。

欧州の発酵セクターに属する企業が調達した資金は、2024年上半期だけで2023年通年の調達総額を上回り、1億6,400万ユーロ(約258億円)に達しました。ブレーキのかかっていた昨年の状態から復活を果たし、資金流入が加速しています。

同社は野心的な開発目標の達成に向け、スイスのFirmenichや植物由来原料大手のRoquetteなどでキャリアを積んだYvan Chardonnensを、新CEOに任命。

New Cultureに続くGRAS(Generally Recognized as Safe)ステータスを取得し、来年にも米国でAdvanced Caseinの製品化にこぎ着ける狙いです。

堅調な資金調達でスケールアップに成功


精密発酵により、牛乳に含まれるカゼインと同じアミノ酸配列と栄養価を持った、生物学的に変わらない代替品を生産するStanding Ovation。

「Advanced Casein」と呼ぶ主力原料のCO₂排出量は、従来の乳タンパク質生産に比べて94%少なく、水と土地の使用量も大幅に削減が可能です。

関連技術と生産工程に係る7つの特許を取得しており、大手乳業メーカーBel Groupとの戦略的パートナーシップ構築など、成功を収めてきました。

精密発酵カゼインの生産を手掛ける世界的にも少ない企業の一つである同社は、すでにフランスが酪農において主権を握るための戦略的プレーヤーとして認知されていると認識している様子。

今年初めの時点では1週間あたり数十kgの生産能力でしたが、上述した公的セクターからの資金投入により規模拡大への取り組みが後押しされ、年末までに商業生産を実現するべく最終準備段階に入っています。

参考記事:
Standing Ovation Raises €3.75M for Fermented Casein, Eyes 2025 USA Launch with New CEO
Standing Ovation raises €3.75M for animal-free protein production – Tech.eu
Standing Ovation Raises €3.75M in Series A+ Round, Appoints New CEO to Begin Animal-Free Casein Sales in 2025

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