米Ecovativeが約40億円を調達、菌糸体ベーコンの拡大とヴィーガンレザーの新製品発売へ

米国・ニューヨークを拠点とするEcovativeが、菌糸体をベースとしたベーコン「MyBacon」の拡大と、新しい持続可能な代替レザー素材「AirLoom」の導入に向けて2,800万ドル(約40億2,000万円)の調達を行ったと発表しました。

食品とファッション、両業界でイノベーションを加速させる狙いです。

持続可能な代替肉と代替レザー


2007年に設立されたEcovativeは、独自の「AirMycelium」テクノロジーをベースに、さまざまな用途に応じた菌株のキノコを垂直農法により大規模栽培しています。

菌糸体ベーコンを手掛ける子会社MyForest Foodsのほか、Forager、Mushroom Packaging、Grow.bioといったブランドを展開し、直近5年間で1億4,500万ドル(約208億円)を調達。

これまでにアニマルフリーのチキン、炭水化物を含まないパスタやスナック、貝類やマグロの代替品など、菌糸体から作られたさまざまな製品を発表してきました。

今回新たに得た資金により、米国でMyForest Foodsを通じた菌糸体ベーコンの生産・流通を拡大させ、欧州ではForagerを通じてファッションアイテムやアクセサリーに代替レザー素材を導入する計画です。

流通拡大に向け生産能力を増強


菌糸体、ココナッツオイル、砂糖、塩、天然香料のみを使用した「MyBacon」は、地元の米国北東部では他社品の3倍のスピードで売れるというほど、急成長している植物性代替肉ブランドとなっています。

バイオリアクターで菌糸体を育てる代わりに、広葉樹チップを敷き詰めた大きなトレイの中でプレート状に育てるという独自手法を採用。『TIME』誌や『Fast Company』誌からも、今日の食品市場で最も革新的な発明の一つと評価を受けました。

すでにWhole Foods Marketをはじめ、米国全土の600を超える小売店で販売されていますが、創業者でCEOのEben Bayerが語ったところによると、これを数千店舗へと拡大させる計画とのこと。

生産面でも、本社工場の生産能力を3倍に増強し、カナダの提携施設からもより多くの供給量を確保しています。

キノコ農場を菌糸体生産に転用


Ecovativeはまた、オランダのキノコ農場を菌糸体の生産施設に転換しているところで、そこで新素材の「AirLoom」を生産。このしなやかなレザー風の素材は、わずか9日間で成長し、排出量を従来のレザーの半分に抑えられるといいます。

また、既存のなめし工程を行う設備に統合することも可能で、なめし職人が何世紀にもわたって培ってきた匠の技を生かしながら、環境フットプリントを削減できるアニマルフリーの選択肢を提供するものとなります。

現在、2025年の商品化を計画しており、PVH(カルバン・クラインやトミー ヒルフィガーの親会社)、Vivobarefoot、VEJA、Reformationといったブランドから関心を集めているとのこと。

今後1年間でさらに多くのキノコ農場をアップグレードする予定であり、菌糸体の生産能力は大幅な拡大が見込まれています。

参考記事:
Ecovative ウェブサイト
Mycelium Innovator Ecovative Raises $28M to Propel MyBacon Growth & Launch Eco-Leather

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