Planet A FoodsがKatjes Internationalと提携、カカオフリーチョコレートを採用した製品の小売り展開を開始

代替チョコレートを開発するドイツのPlanet A Foodsが、菓子メーカーKatjes Internationalとの提携により、歴史のあるピーナッツドラジェ製品「Treets」のカカオフリー・乳製品フリーバージョンを発売すると発表しました。

歴史ある人気製品をカカオフリーに


Planet A Foodsは、代替チョコレートブランド「ChoViva」を昨年より展開。今回、Katjes Internationalのピーナッツドラジェ(ナッツをチョコレートでコーティングしたお菓子)に使用され、新たな小売り展開が決定しました。

1960年代に米国の菓子メーカー、マースから初めて発売された「Treets」は、1988年の製造中止と2009年の再販を経て、2017年には所有権が失効。

翌年にKatjes Internationalがブランドを買収して欧州市場向けに展開することとなり、その後ピーナッツバターカップやスプレッドにも製品ラインアップを拡大しています。

同社が手掛けるようになり、Treetsはヴィーガン原料を使用するなど持続可能性を高めてきましたが、ChoVivaの採用によりカカオフリーが実現。ヒマワリとブドウのシードパウダーから作られた代替品を使い、製品全体が植物性にリニューアルされています。

Kaufland、EDEKA、REWEなど、ドイツの主要スーパーマーケットで今月末から販売されることとなりました。

環境負荷の高いチョコレート生産


ChoVivaはちょうど1年前に市場に参入して以来、チョコレートブランドのリンツ、ルフトハンザドイツ航空、ドイツ鉄道(Deutsche Bahn)などと次々提携し、20以上の製品に採用されてきました。

すでにREWEやEDEKA、Lidl、Aldiといった小売業者のプライベートブランド商品にも採用されています。

Planet A Foodsは独自の発酵プロセスを用いて、「口溶けの良い食感」と「コクのあるチョコレート風味」を再現。糖分を30%カットした製品は、従来のチョコレートのそのままの代替品としても、従来のチョコレートとブレンドしたハイブリッド製品としても使用が可能です。

同社が気候変動対策に取り組んでいることの背景にあるのが、ダークチョコレートの生産に係る排出量が極めて多く(全食品中、牛肉に次ぐ2番目)、豚肉、鶏肉、養殖魚を合計したよりも環境汚染の度合いが高くなっているという事実。

カカオの栽培そのものが森林破壊の原因となっているため、EUと英国で適用開始が迫っている新規則(EUDR*)では、カカオが対象7品目のうちの1つとされています。

一方、気候変動がカカオ生産を衰退させているという側面も見逃せません。昨今の異常気象からカカオは十分な収量が得られなくなっており、カカオ豆の先物価格は今年、史上最高値を記録しました。

長期的には、2050年までにカカオの木の3分の1が枯死する可能性があるとも予測されています。

* 欧州森林破壊防止規則(EU Deforestation Regulation):大豆、牛肉、カカオ、コーヒー、パーム油、ゴム、木材の7品目およびそれらの関連製品を対象に、生産において森林伐採・破壊が行われていないことを証明できない限り、EU域内への輸入が禁止される。2023年6月29日に発効し、大企業は2024年12月30日、中小企業は2025年6月30日より適用開始。

来年には英国進出も予定


Planet A Foodsは、ChoVivaの甘味を抑えたバージョンを含む、より多くの製品をドイツで展開していく予定。

今年初めにシリーズAラウンドで1,540万ドル(約22億3,000万円)を調達した後、2025年の英国市場進出に向けても準備を進めています。

チョコレートに加え、代替パーム油の開発にも取り組んでおり、単細胞オイル、農業副産物、テンサイ糖のような地元産の原料を発酵させてココアバターに似た脂肪に変換した「ChoViva Butter」を生産。

規制当局の承認を待って、2026年までの市場投入を目指しています。

参考記事:
ChoViva ウェブサイト
Treets Taps ChoViva’s Cocoa-Free Chocolate for New Vegan Peanut Dragées

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