デンマークのEndless Food Coがセブン-イレブンと提携、ビール粕を用いたカカオフリーチョコレートを発売へ
デンマークの首都コペンハーゲンを拠点とするEndless Food Coが、プレシードラウンドで100万ユーロ(約1億6,200万円)の調達を発表。さらに、同国のセブン-イレブンとの提携により、カカオフリーチョコレートを使ったクッキーの製品化が決定しました。
年内に小売り展開がスタート
Endless Food Coの製品は、ビール製造において麦芽から糖分を抽出した後に残る、固形のビール粕(BSG)をアップサイクルし活用したもの。
「THIC(This Isn’t Chocolate)」のブランド名を冠し、炭素集約的なチョコレート業界の不安定さを解消する、スケーラブルで安定したソリューションと位置付けられています。
デンマークのセブン-イレブンでは、Tim’s Cookiesと共同ブランドのクッキーを含む商品群の一部に原料として採用され、年内に全国180店舗での展開が開始される予定です。
また、100万ユーロの資金調達ラウンドはNordic Foodtech VCが主導し、デンマークの輸出投資基金(EIFO)とRockstartが参加。昨年のデンマーク・イノベーション基金(Innovation Fund Denmark)からの投資に続き、事業規模の拡大とパイロットプラントの設置に資するものとなります。
醸造から出るビール粕をアップサイクル
Endless Food Coは、食品業界での経験豊富な3人が2022年に立ち上げました。共同創業者の一人Matthew Orlandoは、持続可能性への取り組みが高く評価されていたコペンハーゲンのAmass Restaurant(2022年に閉店)の有名オーナーシェフ。Christian Bach(COO)とMaximillian Bogenmann(CEO)も、ここで同僚として働いていた人物です。
3人は、気候変動と密接に関係するチョコレート産業の問題を解決すると同時に、世界の温室効果ガス排出量の最大10%を占めるという食品廃棄物を活用するソリューションを作りたいと考え、ビール粕に注目しました。
ビール粕は、醸造業から出る廃棄物の85%を占め、世界で年間3,640万トンと推計されています。このうち80%は家畜飼料やバイオ燃料に再利用されますが、残りは埋立処分され、メタンや炭素などのガスが大気中に放出されます。
Endless Food Coは、「THIC」の発売によってパーム油や森林破壊と無縁なチョコレートの未来を創造する狙い。単体でも従来のチョコレートと組み合わせても使用でき、既存の製造工程に容易に取り入れることが可能な同社製品は、従来のチョコレートと同じ味、食感、機能性を持ちながらも、関連する排出量を80~90%削減できるといいます。
同社はすでにデンマーク、ポルトガル、スウェーデンなどに10社ほどのB2B顧客を持ち、2023年下半期だけでTHICを使用したペストリー製品を1万個以上販売しています。
参考記事:
Copenhagen-based Endless Food Co secures €1 million to transform the chocolate industry with sustainable alternative | EU-Startups
Danish Startup Partners with 7-Eleven to Debut ‘THIC’ Upcycled Cocoa-Free Chocolate
A delicious chocolate alternative that’s kind to the planet – Saladplate
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