欧州で8億円超を投じ、植物由来の代替乳製品を革新する「DELICIOUS」プロジェクトがスタート
植物由来の代替乳製品への移行を加速させることを目的とした「DELICIOUS」プロジェクトが先月、欧州で正式に発足しました。
チーズやヨーグルトなどの乳製品に代わる手頃で美味しい代替品を作るため、微生物発酵と植物由来の原料を組み合わせた、革新的な新技術の開発を進めます。
カーボンフットプリントを最大30%低減
EUが推し進める研究開発支援プログラム「Horizon Europe」の下で実施されるこのプロジェクトには、研究機関、大学、中小企業、大企業、業界団体など、9カ国17のパートナーが参加。
フードテック業界の企業としては、ヴィーガンチーズを手掛けるVäckaや、代替脂肪を開発するMelt&Marbleが加わっています。
4年間のプロジェクト期間で500万ユーロ(約8億1,700万円)の予算が確保されており、スウェーデン国立研究所(RISE)がリーダーシップをとって、ハイスループットスクリーニングや機械学習などの最先端技術を使用。
植物性乳製品の官能特性と栄養価を高めると同時に、従来の乳製品に比べてカーボンフットプリントが最大30%低い製造工程を実現する狙いです。
プロジェクトのコーディネーターを務めるCharilaos Xirosは、「先進技術と消費者インサイトを統合することで、植物ベースの食生活へのシフトを加速させ、植物性乳製品業界に新たなスタンダードを打ち立てたい」とコメントしています。
EUの気候変動目標に沿った施策
2023年のデータでは、欧州における従来の乳製品の売り上げは低迷しており、多くの業界企業にとって状況は予想以上に悪化。消費者の乳製品離れが始まっている可能性が示唆される一方、植物性乳製品の売り上げは成長を継続しました。
Eatable Adventuresが乳業業界の将来を示した2024年9月発行のレポートでは、乳業メーカーは持続可能性と効率性を向上させるため、植物ベース、細胞(培養)ベース、発酵ベースの革新的技術を製品に取り入れることが推奨されています。
世界の植物性食品市場は、2027年までに400億ユーロ(約6兆5,400億円)に達する見通し。EUが、2030年までの温室効果ガス排出量を1990年比で55%削減するという野心的な目標を達成するためにも、このような移行を進めていくことは重要な要素となります。
参考記事:
DELICIOUS: Advancing Innovation in Plant-Based Dairy Alternatives Across Europe
€5M DELICIOUS Project Uses Microbial Fermentation to Enhance Sensory & Nutrition Properties of Dairy Alternatives
DELICIOUS project to innovate plant-based dairy alternatives in Europe | PPTI News
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