マイコプロテイン開発のThe Better Meat Co.、南米の食肉大手と過去最大規模の契約を締結

バイオマス発酵により代替肉原料を開発する米国のThe Better Meat Co.が、南米最大手の食肉会社との間で、同社のマイコプロテイン「Rhiza」をハイブリッド肉の原料として使用する内容の基本合意書(LOI)を締結しました。
多数の食肉大手に原料供給を実施
具体的な社名は明かされていませんが、南米で最大手という食肉会社は、月30トン(食肉に換算した場合、乾燥重量で90トン)の「Rhiza」を購入する意向を示しているとのこと。
The Better Meat Co.はこれまでにも北米やアジアの大手食肉メーカーとの間で4件の契約を結んでいますが、今回のものが規模としては最大。これらをすべて合わせると、年間1,300万ドル(約19億5,000万円)の収益を上げられる見込みです。
累計2,700万ドル(約40億4,000万円)の資金を確保してきた同社は、2週間前に新たな調達ラウンドを開始したところで、スケールアップを図るため1,500万ドル(約22億5,000万円)の調達を行う予定だといいます。
創業者でCEOのPaul Shapiroは、「Rhizaは低コストで汎用性の高いホールフードで、動物性・非動物性、両方の用途を強化する。それが大手の食品企業を魅了している理由だ」とコメント。
ヴィーガンサーモンにRhizaを使用しているOshiのような植物性食品のパートナーとも引き続き協働していますが、「食肉会社と協力して、動物の利用を少しでも減らすことに最も重きを置いている」と述べました。
規制認可とコスト削減で大きく進展
The Better Meat Co.は、2019年からPerdue Farms(パーデュー・ファームズ)と協業し、「Chicken Plus」にRhizaを導入。ブラインドテストでは、参加者は100%牛肉から作られたミートボールよりも、マイコプロテインをブレンドした方を好むという結果が得られました。
現在は、Hormel FoodsやMaple Leaf Foodsといった企業と月額契約を結び、共同開発を実施。カリフォルニア州サクラメントにある工場で生産したマイコプロテイン原料を供給しています。
この施設は9,000リットルの発酵能力を持っていますが、需要は供給可能量をはるかに上回っているとのこと。委託製造業者も活用し、約15万リットルまで迅速にスケールアップさせる拡張計画もあるといいます。
Rhizaはタンパク質単離物ではなく、真菌の一種Neurospora crassaの発酵によって生産される全バイオマス成分。必須アミノ酸をすべて含み、乾燥重量で卵よりも高い50%のタンパク質含有量を誇ります。さらに、オーツ麦と比べても食物繊維が多く、コレステロールや飽和脂肪酸を含まないのが特徴。
この原料は、昨年米国でFDA GRASステータスを取得。シンガポールでも販売認可を得てアジア進出を果たしました。
また、最終製品の収穫と同時に原料をバイオリアクターに投入する連続生産への移行を図った結果、収量が向上し生産コストの30%削減を達成。研究開発面でこれ以上の進歩がなかったと仮定しても、大規模生産により従来の牛肉と同等のコストを実現できるとしています。
参考記事:Ahead of $15M Fundraise, The Better Meat Co Secures Mycoprotein Deal with South American Meat Giant
この記事へのコメントはありません。